実家の片づけが、思い出と向き合う時間に

松本明子さん
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――人手に渡ったにせよ残すことができたのは、よかったですね。

松本:取り壊して更地にしたら、父は悲しむだろうなとも思っていたので。肩の荷が下りました。ただ…それで終わりじゃなかったんです。「今すぐにでも住みたいので、早急に家の中をからっぽにしてください」と言われまして。

――片づけは終わってなかったのですね。

松本:これで安心と思ったのも束の間、大ショックです。急いで片づけなきゃ! ということで、実家近くの健康ランドに泊まり込んで、朝から晩まで片づけをしました。

――それは大変でした。

松本:父も母も昭和一桁生まれで、ものを大切にする人で。まぁ、捨てない。私と兄のものも全部、取ってあって。ため息をつきつつ、大事にされていたんだなぁとあらためて思いました。

――すべて片づくまでどのくらいかかったのですか?

松本:1週間かかりました。東京に持って帰るもの、人に譲るもの、リサイクルに回すもの、全部仕分けをして。行き先がないものは処分して、その量は2tトラック10台分。100万円かかりました。最後の片づけのために、東京と高松を往復した交通費、宿泊費も10万円ちょっとかかりましたね。

――業者にまかせようとは思わなかったのですか?

松本:両親が残したものは2人が生きてきた証しだから、全部自分で目をとおそうって。片づけは思い出と向き合う時間にもなりましたし、結果、後悔なくできました。

――実家じまいを経験されて、松本さんに変化はありましたか?

松本:自分自身の終活ですよね。息子が私と同じ思いをすると思ったら、自分の身の回りのものは捨てても捨てられてもいいものでいいやって。“もの”ではなく、心の中に“思い出”をためていこうと思っています。

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