ここからが本格的な痛みとの闘いだった

これでもう安心と思ったのも束の間。おかしい、痛みも熱も増している。腰を触ると…発疹が増えて、お腹の方まで帯状に出てきている! 下着の締めつけさえも痛いし、相変わらず痛すぎて眠れぬ。立っているとましなのだけれど、顔を洗おうにも痛くて腰も曲げられん。心なしか子宮もちくちくしてきたような。

不安すぎて土曜日にまた病院へ行ってしまった。

「今はウイルスと体が闘っているところだからいちばん痛いでしょうね。発疹もまだ出てくるでしょう」

二次感染して発疹が膿みをもちはじめると大変だけれど、見た感じその心配はないから、とにかく体をよく休めること。そのためにも痛み止めを追加して安眠できるようにしましょうと言った。1、2、3、4、5、6、7…こんなに大量に薬を飲むのは初めてだが、追加した痛み止めのお陰かやっと眠ることができた。

それからも、痛み止めがきれると猛烈な痛みがやってくるのを繰り返しながら、ちょっとずつ元の体に戻りつつある、と信じたい。

この痛みが1か月~1年以上続く人もいるそうだ。気の毒すぎる。そして、体力が落ちたら、この病また5年とか10年後に目を覚ますそう。ひー。やめてくれー。

周囲でも多い帯状疱疹

飛行機のなか
二拠点生活は移動も大変
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意外と帯状疱疹になった人はたくさんいた。私は腰だったからまだ大事にならなかったけど、目に出てしまってお岩さんどころではなくなった人や、帯状疱疹が原因で顔面神経痛になって片方の顔がしばらく動かなくなった祖母のことを思い出した。あれは本当に辛そうだった。とにかく早期発見が大切だとか。

入院中など免疫の落ちているときになる人が多いようだが、受験中になったという人もいた。テレビCMなんかで「50代から帯状疱疹のワクチンを打ちましょう」というのを見ていたから高齢者の疾患と思い込んでいたけど、若くても疲れていたらなるんだなあ。

治療が遅れて入院したという人もいた。早期発見と言われても、判断がとても難しい。私は、偶然にも皮膚科に行く選択ができたけど、発疹も見当たらず腰痛となると、普通は整形外科に行くだろう。片側の皮膚にピリピリとした痛みやかゆみを感じて、発疹がひとつでも出たら、すぐ皮膚科に行ってみてほしい。

間違っていたら間違っていたで、笑える方がいいもの。私もあの日、痛くて痛くて本当は外になんて一歩も出たくなかったけど、皮膚科へ行ってよかった。たったひとつの発疹を見逃さなかった先生のお陰なんだけれどね。

自分の体が出したSOSで感じたこと

「とにかく、ぼーっとすることが大事よ」

と、20代で帯状疱疹になった友達がメールをくれた。

ぼーっと。私のお得意のやつだったはずだが、いざぼーっとしてみると、とても懐かしい感覚だった。畑で虫が大量発生したり、猪に荒らされたり、炎天下での草刈り、日照りで野菜が次々に枯れたり、人手がたりなくてひとりでがんばりすぎたことも。この2か月、体力だけでなく、私は精神的に参っていたのだと、ぼーっとしてわかった。

私の体が出したSOSは、今後のことを考えるいい機会にもなった。時間は有限だ。やりたいことなにからなにまで全部やりたいけど、体力も昔よりも有限であることを知った。少しずつ引いていく痛みとともに、夏の終わりを感じている。

※この記事の病状や診断は個人的なものです。健康不安があれば、かかりつけ医や信頼できる医療機関を受診、相談しましょう

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