昨今、自分らしくひとり暮らしを楽しんでいるシニアが増えています。京都の中心地でひとり暮らしをする、現役の食養料理・野草料理研究家の若杉友子さん(86歳)もそのひとり。ここでは、若杉さんの最新著書『若杉ばあちゃんの今日も明日も身軽な暮らし』(すばる舎刊)より、日々の食事や買い物の仕方について紹介します。
すべての画像を見る(全4枚)基本的に一汁一菜。献立も買い物もその日の気分で
ばあちゃんは、もう30年も基本的に一汁一菜。玄米か分づき米と旬の野菜があればことが足ります。
毎日の食事の献立なんて、まるで考えていません。行き当たりばったり。そもそも食べたくないときはつくらない食べない、で生きています。おかずは1品あれば上等だけど、一汁二菜のときもあるし、一汁三菜のときもある、という具合です。
だれかが来るときも、あるものでつくるまかない料理。わざわざ買い出しに行かず、冷蔵庫にあるものでつくる。大根があったら刻んで塩を振り、唐辛子と昆布と柚子の皮を入れて一夜漬けにすれば一品完成。そんな素朴なおかずがたまらなくおいしいのです。
心配してくれる人もいるけれど、今のこの食事で満足
ばあちゃんは肉、卵、砂糖、乳製品を食べないから、買い物もすごくシンプル。時折、魚売り場をぐるっと回って、国産しじみの味噌汁を飲みたいなって思ったときは、「肝臓の薬だから」と買います。冬は天然魚のアラを買ったり。身じゃなくてアラ。鍋物にすると、ものすごいだしが出るんです。
「それでもアラ一盛りは多いから残りは冷凍。そうしておくと一冬を一盛りのアラで楽しむことができるから経済的なんよ。私がやせてガリガリの“骨皮筋衛門”だからって、姪っ子たちが『もうちょっと魚や練り製品なんかを食べた方がいいんじゃない?』といろいろ持ってきてくれたり、送ってくれたり、ほかにも『たまには食べた方がいいよ』って心配してくれる人がいます。でも私は今のこの食事で満足なんです」
心配してくれるのはうれしいけれど「小さな親切、大きなお世話」って、笑いながら断ります。
そうそう、冬は鉄鍋で手づくりほうとうも楽しみます。子どもでもすぐできるし、非常時にも役立つので、長年ばあちゃんの料理教室でも大好評。麺を伸ばす台や、麺棒がなくてもできちゃうんです。
「自分でこねて寝かせて伸ばして、パッと広げて麺をつくるのはマジックみたいで楽しいし、すごくおいしいんよ」