梅の季節が到来し、梅干しや梅酒、ジャムなど、梅しごとを始める人もいるのではないでしょうか。でも梅の種類や状態の見極め方は難しいもの。毎年、近所で採った梅で梅しごとをしている作家・作詞家として活躍する高橋久美子さんに、梅の見極め方について紹介してもらいました。

暮らしっく
高橋久美子さん
すべての画像を見る(全4枚)

今年も梅の季節到来。「梅しごと用」の梅の見極め方

毎年毎年、この季節になると梅のことしか書かないので、飽きてきた人もいるでしょう。すみません。でも、今回も梅です! 梅しごと用の梅の見極め方についてのお話です。

梅の木
梅の木。今年は実が少ないなあ

毎年同じ場所で梅を拾うけれど、今年はどうやら裏年(収穫物があまり採れない年)のようで近所のおばあさんち、公園、神社、大学と、毎年山ほど落ちていたというのにどこも少なめだ。場所によってはまったく落ちていないところもある。梅の木が休憩をしているんですね。

梅の実
青と黄色と、混ざった梅。選り分ける

梅の実を毎年観察していたら、梅の状態で何に加工したらベストかが分かってきた。

毎年記録している私の梅日記帳を開く。ふむふむ、去年は温かかったから、5月上旬にもう梅が落ちていたのか? いや、これは熟して落ちたのではなく、先日のような初夏の嵐によって振り落とされた梅。まだ落ちる予定でなかったものだ。

そういった梅は小さく石みたいに硬い。すり下ろして(もしくは種を出してミキサーにかけて)手ぬぐいでこして、汁だけを土鍋でにつめて、お腹のお薬になる梅肉エキスをつくる。梅肉エキスに向いているのは、真緑で石みたいにカチカチの梅。包丁を入れたときに、ザクっと大根を切ったときのような感覚だとよいです。

5月の梅は梅酒やシロップにぴったり

5月中旬~下旬の梅も、まだ青いけれど真っ青ではない。表面は青いけど中はやや黄色がかってきます。私はブランデーと氷砂糖と黒糖を買いに走る。梅酒や梅シロップをつくるなら、ゆっくりと梅のエキスが出ていける青梅がおすすめだ。梅酒は、ブランデーか麦焼酎に氷砂糖と黒糖をブレンドして漬けるのがおすすめ。

「焼酎って度数が低いけど大丈夫なんですか?」

と聞かれるけれど、20度以上あれば大丈夫です(※)。梅酒というと35度のホワイトリカーで漬けなければいけないと思っている人が多いけれど、ブランデーや焼酎で漬ける方が、私はお酒として気に入っている。

※ ご家庭で梅酒をつくる場合、ベースとなる酒類は「アルコール分20度以上のもので、かつ、酒税が課税済みのものに限る」ことが、法律(酒税法)で定められています。

そして、梅を規定の数よりたくさん入れます。たとえばブランデーが640ccだとしたら、梅は1.2kgくらい入れます。私は甘すぎは苦手なので砂糖は梅の3割か4割。梅シロップでこの量だと梅が腐ってしまうけど、ブランデーに浸かっているので平気です。

ここから、2年くらい寝かせます。梅シロップの場合は、1年も置いておくと梅が溶けてしまうけど、ブランデーくらい度数の強いお酒なら、むしろ寝かした方がまろやかになっておいしいです。

梅シロップも、この青梅の時期に漬けています。黄色の梅で漬けてしまうと、氷砂糖の溶けるスピードに寄り添うことができず梅は腐ってしまいます。もし黄色の梅で漬けるならば、すぐに溶ける白砂糖やきび砂糖を、梅、砂糖、梅、砂糖、とサンドして日に日に瓶を逆さまにしたり砂糖が行き渡るように混ぜます。