「その家、売りたいから今すぐ出ていけ!」
正式に離婚したあとに、元夫が不動産屋さんを連れて家にやって来ました。表向きは「家の価値を調べておくだけ」と言われた亜希さんは二人を家の中へ通しました。が、東京でオリンピックの開催が決まり、不動産価値がどんどん高騰しているという報道が相次いでいた頃。今になって思えばすでに怪しかったといいます。
「元夫の本心は分かりませんが、不動産屋は売りたい気マンマンの人でした。『都心のわりに近くに大きな公園もあったりして、立地がいいということで、すでに海外のお客さんが今ならキャッシュでこれくらい出すって言ってます』みたいな会話をしているのが聞こえて。おいおい、私はここ売るなんて聞いていないぞ! って思ったし、そのときは、元夫も『今すぐ売ることは考えていない』ってキッパリ返事をしていました」
しかしその状態も長くは続きませんでした。
「たぶんその後、また値段が跳ね上がったんでしょうね。元夫から毎日のように『その家、売ることにしたから今すぐ出ていってよ。お前にだって、取り分あげるから、それで新しい場所住んでよ』っていう電話がかかってくることになったんです」
非情な元夫に改めて幻滅した
すべての画像を見る(全5枚)物理的に、まだ未就学児の子どもと犬を抱えて、すぐに引っ越してくれと言われても難しいですよね。とくに、都心だと「ペット可」という物件がかなり限られています。
「売れたら取り分がどうとか言われても、引っ越しには初期費用だってかかるし、ペットがいるとなかなかいい物件のあきがみつかりませんでした。それでやむを得ず『そんなにすぐに出て行けっていうなら、せめて犬を預かってくれない?』って夫に頼んだんです。そしたら『いいけど、俺は世話なんかできないから、すぐ保健所へ連絡するよ』って。最低です」
子どもの転園は避けたかったので、とにかく近所であいている物件を片っ端から見に行ったという亜希さん。
「仕事を抱えたままこういう作業をひとりでこなすのは本当にしんどかったです」
それでもなんとか引っ越しを終え、これでようやく落ち着いて暮らせると思った半年後、「3分だけ話がある」という夫からの電話でまた衝撃的な事実を突きつけられます。