「夫は釣った魚に餌をやらないタイプの人でした」

こうして息子と二人、人生の再スタートをきることになった春美さん。もしも授かり婚じゃなければレスにならなかったと思いますか? という質問をしてみました。すると、「結果は一緒だったと思います」と即答。

「結局、夫は釣った魚にエサをやらないタイプの人でした。夫はきっと、つき合い始めから、結婚するかどうかの微妙なドキドキする距離感のところまでが好きな人。私と結婚してからも、出会い系サイトやアプリをしていたみたいなんです。けれど、駆け引きまでが楽しいみたいで、そこからズブズブ泥沼不倫みたいなことにはならない。見つけて捕まえる、ゴールをきめるまでの過程を楽しみたいのが夫です」と春美さん。

「レスだけの話じゃなくて、楽しいことを夫婦で共有したり、家族としての温かな関係をこの人とはつくれないんだなと、早い段階から気がついていました。だから子どもがいなければ、もっと早く終わっていたと思います。子どもがいて離婚となると、子どもにかかる負担は最小にしたい。その思いは向こうも一緒だったので、お互い最大限の配慮をすることができた気がします」と春美さん。SNSにはキラキラした生活の様子をたくさんアップしていたので、友人たちに離婚を打ち明けると驚かれました。

「実際のことって、夫婦にしかわかりませんよね。傍からみたら幸せ、うまくいっている家庭に見えていただろうし、私もそう見せていました。医者の妻って、横のつながりもあるし、見栄を張らざるをなかったというのが本音。でもあのまま無理して結婚生活を続けていたら、現実とのギャップに自分自身が精神的につぶれてしまっていたんじゃないかな」

シェアハウスでの新しい暮らし。「生きることがラクになりました!」

シェアハウス
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離婚後は、隣の区に引っ越し、シングルの親が寄り添って子育てをするタイプのシェアハウスに入居したそう。元夫の家までも歩いて15分ほど。元夫と子どもの関係も、そして春美さんとの関係も、別れた今がいちばん良好だといいます。

「今住んでいるシェアハウスというのは、キッチンやリビングは共有だけれど寝室は個室。玄関が広くて、家に帰ると『おかえり』と言ってくれるだれかがいる。もう私は一人じゃないんだなと実感できてすごく心強いです。いい意味で肩の荷が降りて、生きることがラクになりました」

親権は春美さんが取りました。元夫は毎月きちんと養育費を支払っているそう。

「子どもには離婚をするときに『お父さんとお母さんは別々のところに住むけれど、家が二つあるって思えばいいからね』って言いました。父子の面会も回数を決めず、子どもが会いたいときにいつでも帰れるし、夫が休みのときには自由に会いにきています。離れて暮らしたら暴力もモラハラも治まっており、息子にとってはたったひとりの父親だし、ゆるくつき合っていけるようになりました」

最後に、今後の人生プランについて聞きました。

「じつは元夫と婚約した当時、告白してくれた男性がいたんです。そのときはおなかに赤ちゃんがいたので断ったのですが、私が離婚したことも知ったうえで、たまに食事に誘ってくれます。いつか一緒になれたらいいなと想像してしまうことはあるけれど、私の立場で進展させたいとかは言えません。ただ、そういうちょっと好きだなと思える人が存在するだけで、日々の生活が潤いますよね。セックスのありなしにはこだわらず、好きって思える人のそばにいられたらいいなと思っています」

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※パートナーからの暴力のほか、怒鳴る、侮辱する、脅すなどの行為、また性行為を強要する、避妊しないこともDVに相当します。警察のほか、以下の相談窓口も利用できます。 DV相談ナビ #8008(はれれば) DV相談+(プラス)0120-279-889(つなぐ はやく)

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