手の込んだおかずは必要ない、アメリカの「お弁当事情」
アメリカ・シアトルに住んで20年、子育てに奮闘するライターのNorikoさんに、「アメリカのお弁当事情」について教えてもらいました。
すべての画像を見る(全8枚)地域で異なりますが、私の住むシアトルの公立校では、給食を買うか、弁当を持参するかは選択制。小学校の給食は1食3.25ドル(約430円)で、料金は前払いしてあるお金から引かれます。現金を持っていくと新たにチャージすることもできます。
日替わりのピザやベーグル、パスタなど2、3種類から選べ、牛乳やフルーツつき。ちなみに低所得家庭の子どもは給食が無料で、コロナ禍の2年間は全家庭の子どもが無料となっていました。
●アメリカの小学生の“理想のお弁当”
給食、お弁当、どちらにしても日本の学校のように教室では食べず、カフェテリアに移動して好きな席に座り、それぞれ友だちと一緒にランチを取ります。日本の大学の学食や社員食堂のスタイルと同じですね。給食は専属スタッフが用意したものを受け取るだけなので、給食当番もありません。
日本の学校とは、かなり違うなぁと感じるのが、そのランチ時間の短さです。教室、カフェテリア間の移動もあり、食べてすぐに昼休みの外遊びが始まるため、実質15分くらいしかありません。しかも、小学低学年まではスナックタイムと呼ばれるおやつの時間(これは持参したおやつを教室で食べる)が午前中にあり、子どもがそんなにすぐおなかがすくはずもなく…。
そう、子どもは食べたいものだけ先に食べ、苦手なものをあと回しにすることで「時間がなくて食べられなかった」と残してしまう大問題が発生! 給食もお弁当も、残ったらゴミ箱に捨てられてしまうので、親はその事実を知るよしもありません。
というわけで、手の込んだおかずをいろいろつめた「愛情弁当」は、そもそも全部味わって、ゆっくり食べている時間がないのです。手づかみ上等、シンプルイズベスト。これが食品ロスもない、親の手間暇も無駄にならない、アメリカの小学生に求められている理想のお弁当と言えます。
●家にあるものをつめるだけ!
それでは、アメリカではお弁当になにを持って行けばいいのでしょうか? 園児から小学生、さらに中高生、そして大人も、基本はサンドイッチでOKのようです。アメリカでのサンドイッチは、日本のおにぎり的存在と言えるかもしれません。たしかにおにぎり同様、具材はなんでも、その日に家にあるものを入れられますしね。
昔からの定番は、「PB&J」と呼ばれるピーナツバターとジェリー(ゼリータイプのジャム)を塗ったサンドイッチ。日本のジャムバターサンド的なものですね。ただ、最近は子どものアレルギー対策からナッツ禁止の小学校が増えており、甘いものはよろしくないという昨今の健康志向もあって、その姿を消しつつあります。