暑い日々が落ち着き、徐々に気温が下がるこの季節、どこかさみしい気持ちになったりしませんか? じつはこういうった季節、気分の落ち込みやうつ病の危険があると言われています。うつメンタルコーチで、公認心理師の川本義巳さんにその仕組みについて教えてもらいました。

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うつ病
季節的に気分の落ち込みなどが出てくる頃ですね(※写真はイメージです。以下同)
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季節の変わり目は「心と体」のサインを見過ごさないで

暦の上では夏を通り過ぎ、秋真只中ですが、それでもまだまだ暑い日が続きます。ただ急に気温が落ちるのもこの季節。この夏から秋へ、そして冬に向かう季節に「うつ病」になる人が増えていくのはご存知でしょうか?

●季節の変わり目が危険な理由2つ

その理由の1つに気候変動があります。暑さと寒さが交互にやってきたり、朝夕と昼の温度差が大きくなりやすいのがこの季節です。気温の変化に体がついていけず、自律神経のバランスを崩し、体調不良につながることがあります。これがきっかけになり、うつ病へと移行していく危険性があります。

もう1つは日照時間の長さにあります。秋から冬に向かう過程で、太陽の日照時間もが徐々に減っていきます。この日照時間が短い季節は、うつに発展しやすいということが分かっており、「季節性うつ病」や「ウインターブルー」とも呼ばれています。

いずれにせよ、この時期は油断せずにケアをしっかりとしていただきたいのですが、今回は「ちょっとうつとはわかりにくい症状」についてご紹介しましょう。

●過食や過眠がうつの引き金になる場合も

仮眠

うつといえば、気分が落ち込んでやる気がなくなったり、眠れなくなったり、食欲がなくなるといったイメージがあると思います。意外かもれませんが、うつ病かどうかを判別する際の目安の中には、「過食」と「過眠」も含まれているのです。

精神科や心療内科で診断を受けたとき、お医者さんは“ある基準”を元にその人がうつ病であるかどうかを判定します。その基準になっているものでとくにメジャーな基準に「DSM-5」というのがあります。

DSMはアメリカの精神医学会が作成する「精神疾患の診断・統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)」の略であり、DSM-5はその第5版にあたります。世界中で活用されており、日本の精神医療においても用いられることが非常に多いとされています。

そのDSM-5によるうつ病の診断基準の中の一部にも「有意な体重変化(1か月で5%以上の変化)、食欲減退または増加」「不眠または過眠」といった項目があるほど、うつ病の診断基準になっています。