いつの頃からか、毎年の誕生日が憂鬱になり、年を取るのが怖くなる…。そんな女性も決して少なくないはずです。
これに対して、「年を取るのは怖いことじゃない。60歳からの人生はもっともっと楽しくなる」と著書『60歳のトリセツ』(扶桑社刊)の中で語るのは、脳科学者の黒川伊保子さんです。そんな黒川さんに、60歳から人生がもっと楽しくなる理由について、教えてもらいました。
すべての画像を見る(全2枚)60歳からの人生がもっと楽しくなるワケ
ご自身も現在63歳である黒川さん。本書『60歳のトリセツ』を書いた理由は、「担当の編集者さんのお母さまが60歳目前になり、気落ちしているという話を耳にしたことです。母の還暦に贈る一冊をぜひ、という熱い思いにほだされて(微笑)」と語ります。
●60代の人生も捨てたものじゃない
「多くの方は、もしかしたら『60代は人生の終わりのはじまり』と思っているかもしれませんが、60代も捨てたものじゃありません。なぜなら、脳は56歳で完成し、その後7年かけて成熟します。60代は、だから成熟脳が花開くとき。意外にも感性が豊かに使える年代なんです。だからこそ、私自身も以前から『60代になったらどんな世界が見られるのか』を、ずっと楽しみにしていました」
脳が活性化するのは若いうちだけだと思われがちですが、じつは年代によって脳の働きや成熟度合いは大きく違うのだと、黒川さんは続けます。
「人生最初の28年間、脳は新しいことを覚えるのが得意です。あらゆる情報を手にしたものの、とっさにどれを選べばいいかわからない…それが30歳代の脳。白黒はっきりつけられなくて、迷う時期。失敗を繰り返すことで、脳は『とっさに使うべきではない回路』がわかり、徐々に整理されてゆきます。
40歳が近づくと、どなたも物忘れが始まるはず。『とっさに通電しない回路』が増えることによる副作用で、これは老化ではなくて進化です。そして、50代になると、直感で正解が出せるようになり、人生がラクになります。そして、いよいよ脳が成熟にいたる60代は、これまで感じたことがないような、真理をつかむ領域に入ってきます」