●60代の人生を楽しむ秘訣は、「正しい人」になろうとしないこと

笑顔の女性
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60代以降の人生をより楽しむために重要なのは、「正しい人やすてきな人だと思われようとしないこと」と黒川さんは言います。

「子育て期間中の女性は、群れから離れると子どもの危険とつながっているので、『うしろ指を指されないように』という本能が働きがちです。これは生存本能のひとつなので、けっして間違った選択ではありません。ただ、子育てが終わったならば、その感覚を捨てていい。『正しくあろう』としなくていいんです」

また、脳科学的に見ても、「こうあらねばならない」という常識にとらわれる必要はないのだとか。

「仮に世の中に人としての正解があるのなら、いま地球上にいる人間の脳には個人差が生まれないように進化してきたはずです。でも、これだけ人によって個人差があるのは、人間には正解などない証拠。むしろ、自分の思うように生きて、その人にしか感じられない感性を楽しむことこそが正解なのです。また、60代になると、人目がどんどん気にならなくなるので、より自分の感性を自由に楽しめるようになるはずです」

現在60代半ばを迎える黒川さんですが、すでに「70代の人生も楽しみで仕方がない」と語ります。

「アメリカの歌姫・シェールのように、その場に現れただけで圧倒的な存在感をあふれさせる70代が憧れ。そうなれるかどうかは脳のみぞ知る、ですが」

●「毎日感動すること」が、人生をずっと楽しむ秘訣

自分なりの感性を、ますます楽しむことができる60代。その感性を最大限楽しむために、日々心がけたいのが「感動すること」です。

「現在、私はラジオ番組のMCを担当しているのですが、先日、番組にデヴィ夫人をお招きしたんです。夫人はいま83歳ですが、いつまでもアクティブですてきな方ですよね。その日もリスナーから『いつまでも若々しくいる秘訣を教えてください』という質問があったんですが、それに対する夫人の答えは『毎日に感動すること』とのこと。

デヴィ夫人のイメージする“感動”ってどんなものだろうと思って、私も『毎日どんなことに感動して暮らしているんですか?』と聞いてみたんです。すると、『今日、朝起きたときに、顔のそばにいたワンちゃんがあまりにかわいかったから、胸がドキドキした』とおっしゃっていました。その答えがあまりにもかわいらしくて。私も、その朝、傍らに寝ている1歳の孫の寝顔に同じ気持ちになったところ。そういう些細な感動もちゃんとキャッチアップできるのが成熟脳の証と言えると思います」

ささいなことにも、喜びや驚きを見出せるようになる、60代以降の人生。「もう若くないから人生は右肩下がり」などと悩むのではなく、まずは毎日の小さな“感動”を探すことから始めてみたいものです。

黒川伊保子さんの書籍『60歳のトリセツ』(扶桑社刊)では、60代からの人生をもっと楽しむ秘訣を多数紹介しています。

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