長年に渡って人気のある「手づくりヨーグルト」。腸活だけでなく、食費の節約やゴミ削減、そして癒やし効果もあるのだとか。その理由と正しいつくり方を手づくりヨーグルト生活をしている方々と、フジッコ株式会社の川端成治さんに教えてもらいました。
手づくりヨーグルトで節約&癒やされる
すべての画像を見る(全2枚)夫婦と小学生の子ども2人の4人家族で暮らすサトミさんは、400グラム入りのヨーグルトを買っていましたが、毎日1、2個出る容器ゴミにうんざりして、手づくりヨーグルトにチャレンジしました。
「空き容器ってきれいに洗わないと臭う。面倒だし、ゴミなのにと理不尽に感じてしまって。牛乳でつくったら倍量のヨーグルトができて、手間が半分で済むので、気分的に楽になりました」
家計簿をチェックすると、手づくりの方が1か月で3000円ほど安上がり。食品の値上げが続く中でもヨーグルトは我慢せず食べ続けられているそうです。
また、夫と2人暮らしのアヤさんは、コロナ禍で時間に余裕ができたことから、毎朝食べるヨーグルトを手づくりするようになりました。
耐熱の保存容器に種菌と牛乳を入れて、冬は暖かい場所、夏は涼しい部屋に置いておくだけ。お金もかからず、簡単でびっくりしたそう。アヤさんがさらにびっくりしたのは、ふだん料理にタッチしない夫が、頼んでもいないのにいそいそとヨーグルトの世話をするようになったこと。
「ちょうどいい温度の場所を探したり、でき上がりの状態をまめにチェックしたり。ペット感覚で癒やされるらしいです。うちはペット不可ですけど、ヨーグルトなら大丈夫ですよね」
魅力たっぷりの手づくりヨーグルトですが、つくり方や管理を間違うと食中毒を起こすことも。そこで、手づくり用のヨーグルト種菌を販売するフジッコ株式会社の川端成治さんに注意するポイントを教えてもらいました。
●ポイント1:容器はふきんで拭かない&自然乾燥させない
安全にヨーグルトをつくるためにいちばん大切なのは、使う容器や道具をしっかり消毒して殺菌することです。容器だけでなく、フタやかき混ぜるのに使うスプーンなどもしっかり熱湯消毒してください。その際にふきんなどでふいたり自然乾燥させると、ふきんに付着したり空気中を漂う雑菌が混入したりする恐れがあります。
多少、水分が混ざっても問題ありませんから、乾かそうとせずにそのまま牛乳と種になるヨーグルトを投入しましょう。
●ポイント2:雑菌が入らないようにフタはきっちり閉めて
手づくりヨーグルトが流行り始めた頃、種菌の混ざった牛乳に空気を入れるためにティッシュやふきんでフタをするという説がありました。けれども、液体の中で発酵は進んでいくので空気に触れる必要はありません。
むしろ雑菌が混入しやすくなるので、フタはしっかりしましょう。ネジフタはしっかり最後まで締める、金具で留めるタイプもバチンと閉じて。フタも熱湯でよく殺菌するのをお忘れなく。パッキンのついたものは、パッキンを洗剤で洗ってから、フタに取りつけた状態で熱湯をかければOKです。
●ポイント3:牛乳は温めなくても大丈夫。乳酸菌が育ちやすい温度の場所に置いて
冷蔵庫から出したばかりの牛乳では冷たいので、温めてから使うという話を聞きますが、人肌で「温かい」と感じられるのは40~45℃くらい。フジッコで販売している種菌「カスピ海ヨーグルト」の乳酸菌は25~30℃で活動するので、40℃以上になると乳酸菌が弱ったり死んでしまうことも。ですので、熱湯消毒した容器に冷蔵庫から出した牛乳をそのまま容器に注いで大丈夫。人間が過ごしても心地いい室温に置いてください。
また、乳酸菌によっては40~45℃で活動する種類もあるので、種菌の説明書をよく読みましょう。温める鍋やかき混ぜる道具や工程が増えると雑菌が混入する機会が増えるので、十分に注意を。