●書いていて、考え方を再認識をすることも

越智さん
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エッセイでは、普段考えていることから、日常の食事のことまで等身大の越智さんがつづられています。中でも、もっとも書いていて印象に残ったエピソードが[答えのないこと]という題名のエッセイです。答えが出ていないこととは、旅。旅の楽しみ方は人それぞれですが、越智さんなりの旅に関する考え方を再認識できたそうです。

「あえて自分の中で答えが出ていないことを書いてみたんです。それが旅でした。私自身は、遠いところに旅をするのが怖いんですが、その理由はなんだろうとか、私らしい旅ってなにかなと考えながらペンを走らせてみました。最終的に『これだ!』って答えにはたどり着けなかったんですけどね(笑)。それでも旅はしているし、これからも怖がらずにいろいろ行ってみたいなって思えたのは大きかったです。そんなふうに日々の生活でも、<着地点が見えそうで見えないけれど、進んでみると見えてくるものがあるな>ってリンクした気がして、自分自身も気持ちがラクになったのを覚えています」

●すべてのものづくり経験は、歌に返ってくる

エッセイでは、こうしたプライベートな越智さんの表情を感じられる話が盛り込まれ、<アーティストSuperfly>のイメージとは違った魅力を感じることができます。最後に、歌手活動15周年を経て、次に意識するものについて教えてもらいました。

「じつは今、ものづくりが本当に楽しいんです。歌詞を書くのも昔は苦行だったこともあったんですが、エッセイをつづる経験を通して、言葉を生み出す楽しさを感じています。また、日常をつづることで、生きるということへの感度も敏感になってきて、それが創作にもつながっているように思います。今がいちばんなにかをつくっていて楽しいと思えます。よく『歳を重ねると脂が乗る』って言いますが、まさにその通りだなって。

これからも音楽作品はいっぱいつくりたいですし、エッセイみたいな普段の自分ではやらなかったことも、拒否せずやってみようと思っています。本業以外の活動も、最終的には本業に返ってくるなと今回の執筆を通じて感じました。だから今後もオープンな気持ちで、いろいろとやっていきながら音楽制作も質を変えていけたらと思います」

 

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