●50代がいちばん大変だったけど、今思うとまだ元気な世代

――年齢を重なるにつれて、いろいろと大変になってくることも多いですよね。

阿川佐和子さん
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阿川:私の経験から言うと、やっぱり女にとってアラフィフはつらい時代かもしれませんね。自分の体が更年期障害になってくるのと、親の介護がちょうど重なるんです。それに、だんだんとときめきがなくなってくる。会社でもかわいい女の子扱いは一切されなくなるし。そういうこともあるから、結構苦難の世代だなって思います。

でも、今年で70歳になりますけど、思い返してみれば、やっぱり50歳はまだ元気だった。肉体的には更年期障害があるけれど体力はあるし、今の人たちはホントにキレイだし若い。なにかを始めようっていうのも、不可能ではないでしょう。もう人生後半だってあきらめる必要はないと思うな。

――阿川さんが50代から始められたことなどありますか?

阿川:私、ゴルフ始めたのが51歳ですから。ゴルフと出合わなかったら、介護なんか絶対できなかったと思う。このうさばらしがなかったら絶対無理だったって思います。介護をやっていろんなことを教えてもらったり、学んだりしましたけれども、やっぱりいろんなことが煮詰まったときに、つらいけど真面目にちゃんとやらなきゃいけないって思う人がすごく多い

自分が介護をしながら思いついたのは「サボる」、「後ろめたさをもつ」ということ。つまり、母の介護をしながらゴルフ行ったりしました。母に「あなた疲れた顔してるわね。今日仕事大変だったのね」なんて言われるんですけど、じつはゴルフ行っただけなんです。でも、自分に後ろめたさがあるから優しくなれるんですよ。

肉体的辛さっていうのは、もちろん限界もあるでしょうけど、精神的なものの方が重いんじゃないかしら。一言「大変だったね、ありがとう」って誰かに言ってもらえるだけで、翌日につなげるエネルギーになるし、それをしてもらえないからパニックになってしまうんだと思うんです。それと同じで、自分がちょっとズルをしたなって思っていると、人に優しくなる余裕が出てくると思う