●後ろめたさをもつことで、優しくなれた

――たしかに、あまり真面目に向き合うと苦しいですね。

阿川佐和子さん
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阿川:あるとき、「親の介護があるのに趣味のお稽古に行くのはやめた方がいいでしょうか?」っていう相談を受けたことがあるんだけど、やめない方がいい! そこでストレス発散できて、ほかの人と接することによって、私だけが辛いんじゃないと思ったり、いろんな情報が入ったりして、ラクになれたりするから。別の楽しい場所があれば、帰ったときに余裕ができるんですよね。

だけど、すべてを家のことに集中させると絶対潰れてしまう。介護離職という現実もあると思うけれど、できればもうひとつの場をもってるっていうことは死守した方がいい気がしますね。とりあえず気分が晴れたり、気分転換になるとか、実際すごく好きなこととかあるんだったらそれは大事にして。それと、助けてボタンをどっかに置いておくことですよね。

――後ろめたさをもった方がいいんですね。

阿川:父にも散々「お前は病院に来てくれないのか」と言われたり、持っていった食料に「まずい」とか言われたりしました。せっかくやったのに! と思って、この捌け口をどうしてやろうかと、父のお金でプラジャーを3本買ってやったんです(笑)。ザマミロですよ。でも、そう思ったら、少しは次に父に会ったときに優しくなれました。まあね、人間、そんなに聖人君子にはなれないですよね。

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