人生100年時代、そのモデルとして取り上げられて話題の”哲代おばあちゃん”をご存じでしょうか? 102歳の石井哲代さんは、広島県尾道市の山あいの町で、元気でひとり暮らしをし、メディアでも話題に。そんな哲代さんの初の書籍『102歳、一人暮らし。哲代おばあちゃんの心も体もさびない生き方』(文藝春秋刊)から、その暮らしぶりを抜粋で紹介します。

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102歳のご機嫌暮らし。ひとりでも元気な秘訣は毎日の食事や亡き夫との会話
石井哲代さん
石井哲代さん、102歳
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「最近はようやく自分をご機嫌にさせるこつをつかめた気がしとりますが、若い頃は悩みや葛藤を抱えて、そりゃあ、とがっとりました。人生の場数を踏み、いろんな感情に折り合いをつけながら心の角をなくし、人間が丸くなっていったんでしょうな」(本書より)

そんな哲代さんが、自分らしくしているために大切にしていることを紹介します。

【哲代おばあちゃん流 私らしくいるための5か条】

(1) 自分を丸ごと好きになる

(2) 自分のテンポを守る

(3) ひとり時間も大切

(4) 口癖は「上等、上等」

(5) 何げないことをいとおしむ

●子どもを授からなかったことが悩みに

いつもへらへら笑ろうて悩みもなさそうに見えるかも分からんですが、若い頃にはえっと(たくさん)えっと頭を打ってきたんです。26歳で良英さんと結婚して石井の家に入ったけど、子どもを授からなんだのが一番です。しゅうとは古武士みたいな人で美ノ郷村だった時代の村長でした。代々続く農家の嫁なわけですよ。子だくさんが当たり前の時代でしょう。子どもが持てんのなら、この家におるべきではないと自分で思っていました。

ばかにされる、という言葉が適切かどうかはわからんけど、何をするにも「あの家には子どもがおらんけん」と陰口を言われたくないという思いが強かった。負けん気っていうんかな。教員の仕事も炊事も田畑の仕事も一生懸命でした。勤め先の学校からも一目散に帰ってすぐ畑に出るんです。思い悩む暇をつくらんように、その日その日を忙しく働くことばかり考えとりました。