徹底的にものを使い倒せると、とても気持ちがいいものです。一度は役目を終えたと思えるものも、発想の転換や工夫次第で、「別のもの」として活用できる道がひらけます。かつては「手放すこと」に目を向けがちだったライフオーガナイザーの田川瑞枝さん。SDGsの意識が浸透し、今はまず、賢く再利用することを考えるように。自宅で実践したことを語ります。
すべての画像を見る(全17枚)アップサイクルとは?
子どもが独立し、50代を迎えた筆者。暮らし方が小さくなり、家にあるさまざまなものを使う機会が減ってきました。家の中をすっきりさせるためには、捨てるのがいちばん。でも、思いきって手放すことに、躊躇してしまうのも現実です。
そんな場合、筆者は「アップサイクル」の考え方を取り入れて、もう使っていないけれど手放せないものを違う形で使っています。
ちなみに、アップサイクルとは、捨てられてしまうものに再び手を加えて、新たなものとして生まれ変わらせること。環境への負荷を小さくしつつ、資源を有効活用する考え方です。これを、家庭内で実践してみようというのが、今回のお話。
筆者が行った家庭内アップサイクルについて紹介していきましょう。
壊れたイスは台として再利用
こちらは、ダイニングテーブルセットで使ってきたイスです。もともと4脚セットで購入したもの。子どもが独立して、夫婦ふたり暮らしとなった今、毎日の生活で本当に必要なのは2脚のみに。
セットのうちの1脚は、経年劣化で背もたれが取れてしまい、イスとしては使えなくなりました。しかし、思い出のある家具なので、いつか修理に出そうと思い、手放していません。
部屋において置くだけでは、ただの「場所取り」となります。そこで、筆者はものを置く台としてリビングで再利用。
座面にバスケットを置き、その中にルーターなどを見えないように収納しています。ちなみに、ルーターは熱がこもりやすい機器なので、風通しに注意が必要です。
イスの背もたれ用の穴があいているのを利用して、枝を挿してみました。
これはドウダンツツジの枝です。ちなみにドライなので、お手入れの必要はありません。見事な枝ぶりが、室内に温かみを与えてくれます。背もたれのないちょっと古びたイスともマッチしていて、ふたつを合わせると、まるでオブジェのようにも見えます。
ドレッサーをパソコンテーブルとして再利用
家で仕事をすることが多くなり、パソコン用の机が必要になってきた筆者。新しく購入することも考えましたが、家にあるもので代用することにしました。
それが、ドレッサーです。大きな鏡がついていましたが、今はほとんど使っておらず場所を取っていました。洗面所でメイクをする機会が増えたためです。そこで、パソコンデスクに再利用することにしました。
筆者のドレッサーは、鏡が簡単に取りはずせました。鏡があったままでは、奥行きがたりませんが、これなら作業面が広くフラットに使え、無理なくデスクのように使えます。なお、壁が殺風景なので、筆者はファブリックパネルを壁に飾りました。
立って仕事をすると体によいということで、スタンド式のパソコン台を置いて使うこととも。ドレッサーをアップサイクルしたことで、パソコンデスクを買う必要はなくなりました。