●最初は違う空の仕事を目指していた

長谷川さんは、「舞いあがれ!」の主人公・舞と同じく、国が設立した公的パイロット養成機関「航空大学校(略称:航大)」の出身。小さい頃からパイロットに憧れていたのかと思いきや、じつは違う職種を希望していたと教えてくれました。

長谷川さん
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「飛行機に乗りたかったので、最初は客室乗務員になりたかったんですよね。でも、私の代はちょうど募集がなくて…。募集再開まで待つことも考えたのですが、別の航空関係の仕事を探しているときに、“パイロット”という選択肢があることを知ったんです。それからパイロットになるために、大学卒業後1年間勉強して航大を受験しました」

苦労してつかみ取った航大への入学。しかし、ここでの2年半は、「大変だったが充実した時間だった」と当時を振り返ります。

「ライセンスを取得するためにも、毎日飛行機のことしか考えてなかったです。常に試験が繰り返されて、そのたびに『あとがない…』というプレッシャーや、だめだったら送り出してくれた親にも友達にも申し訳ないし、パイロットになると言った手前、もう戻れないという想いもあって…。

インタビューに答える女性

でも、昨日できなかったことができるようになったのがわかるんですよ! 伸びしろもあって、学んだ分だけ成長するのがすっごく楽しくて。いい時間を経験させてもらいました。ただ、同じことをイチから始めるとすると、もう無理かも~って思いますけどね(笑)」

在学中とにかく勉強してライセンスを無事に取得した長谷川さんは、航大を卒業後JALへと入社。しかし、機長として第一線で活躍する今も勉強は続いているといいます。

「この仕事でいちばん大変なのは“ライセンスの維持”。パイロットになった今も、定期試験は年に2回程度あって、身体検査もあります。いずれかに落ちたら、その次の日からはもう飛ぶことはできないので、必ずクリアしないといきませんし、意地もある。だから、飛行機が好きという気持ちが根底にないとこの生活に耐えられないかもしれませんね」

なお、昔から勉強は得意だったのか尋ねると「そんなに好きではなかった…」と少しはにかみながら答えてくれました。