●これから一歩踏み出したい人に伝えたいこと

中道あん
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平野 これから一歩を踏み出したいと考えている専業主婦の方に向けて、中道さんからのアドバイスはありますか?

中道 子ども時代からこれまでのステージの中でどんなことをしてきたのか、具体的な行動から「自分が好きなこと、楽しいと思うことはなんだろう」と抽象度を上げて方向性を導き出す。あとは思いきってパートに出てみる。そうして自分の好きとか才能の開くところを見つけるために、自分自身の棚卸を滅茶苦茶しないとだめだと思うのです。だって、どんな才能が眠っているか、実際は自分でもわからないじゃないですか。だから、とことん自分と向き合ってください。

私にとって事務の仕事は、とてもしんどかったのです。事務の才能はないのにがんばらないといけないわけですから、結局疲弊して、メニエール病になって倒れたこともあります。ぜんぜん自分と合っていないことをがんばるのは、川の流れに逆らって泳ぐようなもの。一方、今やっているブログを書いたり、マーケティング塾を主催したりする仕事は自分に合っているから、川の流れに沿ってスイスイと楽しく泳いでいる感じです。そういう状況では、努力を努力とは思わないのですよね。

平野 努力できる状況がむしろ楽しくなってきますよね。

中道 本当にそう。フローの状態を探すには、やっぱり自分と向き合うなり、何かしらチャレンジしてダメだったら捨てていくのがいいと思います。

平野 「やってみはったら」ですね。やってみないとわからないでしょう。頭でばかり考えるのではなく、実際に行動に起こす。動いてやってみて、やってダメだったらやめて次を見つければいいのです。

中道 それから、私は50代になって体力が落ちてくると、人と比べることはやめました。30代、40代で何かを始める人って、IT系の能力も高いですし、見た目もきれいですし、勢いもある。新しいことにどんどんチャレンジして今の流行にパッとのっかれるメリットがあるけれど、そこには追いついていけないから。若い世代の人と比べずに、自分のできることを積み上げていくしかないと思います。
三角形のピラミッドのトップを目指すのではなく、いちばん下の広いポジションでいいから、その場所のどのあたりを陣取るかなのですよ。平野先生だったら、洋菓子全盛期の時代、「ニューヨークスタイル」という独特のポジションを取ったことによって成功されましたよね。

平野 確かに、美しいヨーロッパのお菓子が主流の時代、アメリカのケーキといったら、甘ったるくてサイズがやたら大きくて妙にカラフルなだけ。そのしたマイナスのイメージを払拭できたのかなとは思います。
みなさんには、いかにも私が成功しているように思われるのだけれど、成功の定義は人それぞれ違うから。私にとっての成功は、「情熱を注げるようなことに巡り合い、そのことに人生を費やし、そこから喜びや感動を与えてもらっていること」なのです。それを成功というのなら、成功していると思います。