――志麻さんにとって「家庭料理を楽しむ」とはどんなことなのでしょうか?
「つくる時間よりも、家族と一緒に食べる時間をメインに楽しむことですね。もし食事の時間が1時間半しかないとして、そのうち1時間をつくる時間にあてて、残りの30分はかきこむように食べ、さらに片づけの時間で使いきってしまったら、それは豊かな家庭料理の時間とは言えないですよね。
それに、お母さん一人だけが料理の準備と後片づけでヘトヘト…というのは、さみしい気持ちがします。みんな、プロの料理家ではないですし、家庭料理はプロの味を楽しむ場所でもありません。それだったら、10分~20分などで簡単につくれるものに、買ってきたお総菜を組み合わせ、残りの1時間は、家族の顔を見ながら笑い合い、時には語らい、ゆっくりとテーブルを囲んだ時間にあてる方が、同じ1時間半でも、ずっと満たされた気持ちになれると思っています」
●フランス人の義母に教わった、家庭料理の楽しみ方
――志麻さんがそういった“家庭料理の基本”に立ち返ったきっかけはなんでしたか?
「フランスにいる、義母の影響も大きいかもしれません。彼女が、夫や私たち家族をもてなしてくれる姿が、とても自然体なんです。それこそ、近所のお店で買ってきたハムをバーッと並べて、サラダをつくって。あとはメインの鶏肉料理をオーブンに入れて、焼き上がるまで私たちと一緒にソファに座り、ワインを飲みながら、いろんな話をしてくれて。その姿がとてもエレガントだし、彼女はつくることと食べること、両方の時間を自分のために楽しんでいるなと感じましたね。
私が紹介しているレシピも、そうやって、気取らず、気負わず。家族との時間を大切にしながら、日々の食事を豊かにできるエッセンスをたっぷりと散りばめています。ぜひ気軽に挑戦していただけたら嬉しいですね」
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