グラフィックデザイナーの西出弥加さんと訪問介護の仕事をする光さんは、ともに発達障害という共通点があります。妻はASD(自閉スペクトラム症)、夫はADHD(注意欠如・多動症)の特性をもち、お互いに助け合いながら暮らしています。今回は、妻の弥加さんの性自認が男性であることについて、つづってくれました。
すべての画像を見る(全5枚)性自認が男の妻。徐々に男性化していくも…
私はトランスジェンダーだと思います。女性として生きてきましたが、性自認は男性ということです。
今まではそれを公言する必要もなければ、肉体の性別を変える工夫をするという発想になりませんでした。精神と肉体は別でいいと無意識に思っていたので、体も変えていく必要はないと考えていたのです。
しかし今、私は男性ホルモン注射を打ち、男の体に近づいてきました。
●女性として生きていた頃、生きづらかった
自分の性自認が合致してないことが、社会に出てから大きな壁となり、私は生きづらさと絶望を感じました。
20代の頃、女性らしい見た目だったことから、異性からのセクハラや無理やりな誘いが極端に急増したのです。もともと発達の特性があり、会社勤めができなかった私は、24歳でフリーランスになるしかありませんでした。その道しかなかった私は、異業種交流会に参加して営業し、仕事をがんばっていました。しかしその努力と裏腹に、1日に数百件、仕事以外のメールが届く日もありました。会合の後に駅までつけられたこともあったし、既婚者に狙われることは日常茶飯事でした。
性自認が男なので、怖いというより、鬱陶しいという感覚でした。心の中で「なんでそんなに俺に構うの? つきまとうの?」という思いが幾重にもなり、うごめきました。
私の何が悪いのか、自分に隙があるのか、すごく悩み、数か月は寝込んでしまったり、10歩あるいたらイスに座らないといけない状態まで衰弱しました。ストレスによる慢性貧血だったのだと思います。
今思うと自分は悪くなかったと思いますし、ここで女性である自分も悪かったと言ってしまうと、私以外の同じような思いをしてきた女性が自分を責めてしまうかもしれないので、「私は悪くなかった」と断言したいと思います。
●ストーカーされた男性を提訴する事態に
そして今から4年前、ついに裁判沙汰になる出来事が起きました。この裁判のおもな内容は、私に対する名誉毀損と営業妨害です。告白をされて断り、しつこく反応されるSNSをすべてブロックした日から、Twitterでの攻撃が始まりました。私の投稿を別アカウントで追い、私の投稿への反論や悪口を書き、そしてお客様のアカウントへ私の悪口を言いふらすということを4年間されました。
この裁判は今年4月に私の勝訴で終結しました。私は悪くなかったというひとつの証明となり、判例として残ったことを誇りに思っています。