主婦業のかたわらエッセイストとしても活動する若松美穂さんが、楽しく、豊かに暮らすためのさまざまな工夫をつづります。 今回は、やたらと心配する76歳の母(祖母)と大学生の娘(孫)について。
すべての画像を見る(全4枚)大学生の孫娘のお出かけに76歳の母は心配でたまりません
1月初旬、4年ぶりに東京に大雪が降った日。警報が出ている夕方から、都心に出かけ、そのまま深夜バスで遠出をする予定の大学生の娘に、私の母があれやこれや用心深いことを言い続けていました。
その日TVでは、時間が経つにつれて、電車の遅延、高速道路入り口閉鎖の情報が増していきました。母の心配度数はぐんぐん上昇。最終的に娘が「うん、わかった」「言うとおりにする」と折れるまで言い続けそうな押しと勢いに、おかしくなりました。
と同時に思ったことは、小さい頃からこれだけ親から言われていたら、娘である私自身が用心深く、臆病にもなるはずだよ~と。「この先はこうなるかもしれないよ。こうなったらどうするの?」。そんなことばかり言われていたら、よくわからない恐怖感が増して、一歩を踏み出せなくなりそうです。
●心配しすぎる母に助けられているのかもしれない
もちろん母の気持ちも分かります。私が宮城に住んでいた子どもの頃には、雪が積もることも多かったから。母自身が雪の怖さや大変さを知り、困った経験も多いはず。“それゆえの口うるささ”なのでしょう。
母はもちろん、孫のことを思って言っているのでしょう。でもそういう部分もありつつ、私には半分、母は自分の心配事を減らすために言っているようにも感じました。子や孫がリスクのあることをしなければ、見守る方は気がラクですものね。親子・家族って、こういうことでもめること、ありますよね。
ただ私自身は、自分の判断で行動する、ときには経験や失敗をしてみなければわからないことも多いと思っています。対処法も自分で考えられる年齢ですから、伝えることは伝えるけれど、まぁ、あとは自分で決めてください…とも思うのです。
子育てに関しては、こんな風にも思いました。もしかしたら、私は、こうして母に助けられているのかもしれないと。私よりさらに押しが強い、脇で細々言う人がいるからこそ、私が、一歩引くこともできる。子どもとの距離感を保つことができる。
双方の様子を見て、この先は言い方を変えた方が伝わるかもしれない。手段や方法を変えた方が先に進むのかもかもしれないと、もめごとを客観的に見るチャンスがあるのです。