●もち人気の背景には健康志向と多彩なフレーバー展開
前述の通り、十数年前から見かけていたもちアイスでしたが、ここ10年ほどの健康志向やグルテンフリーという人気の波に乗り、「グルテンフリーで脂質も少なくヘルシー!」と再注目。ちょうど、昔ながらのアメリカンなアイスクリームとは一線を画す、ナチュラル素材や珍しい食材を使ったグルメなアイスクリーム店が続々とオープンしていた時期でもありました。
そして、ご存知のスマートフォン、SNS、インスタ映えの流行とも重なります。もちアイスは、バニラや抹茶、小豆などの定番フレーバーに加え、ストロベリー、マンゴー、チョコレートなど、さまざまな風味、色で展開し始めると、たちまち「カラフルでキュートなスイーツ」として拡散。インスタ映えアイテムとして喜ばれます。
すべての画像を見る(全7枚)もちアイスから派生し、ソフトクリームやアイスクリーム、フローズンヨーグルト用の小粒でカラフルな「もち」トッピングも人気に。ちなみに、シアトルに進出したナナズグリーンティーのパフェも「もち」(=白玉)トッピングが好評でした。
そして、「もち」人気はアイスクリームから、他スイーツにも広がりを見せます。アメリカ人の大好物、ドーナツにもち要素を取り入れた「もちドーナツ」がここ数年、全米で大ヒット中。
日本でおなじみ、ミスタードーナツの「ポン・デ・リング」風の、フワフワ、もちもちとした食感が独特のスイーツなのですが、これまたユニークなフレーバーやカラフルな色の組み合わせがおもしろく、インスタ映えもバッチリというわけです。
シアトルにもフロリダ発のもちドーナツ店、その名も「ドチ」が進出し、話題を集めています。「ジャパニーズ・もちドーナツ」とうたっているだけあり、「ピスタチオ・抹茶」、「抹茶・オレオ」、「ウベ・グレーズ」、「柚子・ポピー」、「ストロベリー・ポッキー」など、和もしくはアジア、ハワイの素材が入っているもちドーナツも多く、どれも試してみたくなります。
アメリカでは学校や職場などへの差し入れにドーナツを箱買いする習慣がありますが、先のクリスマス・シーズンにも大活躍だったようです。
そのほか、アメリカではパンケーキもワッフルもマフィンもブラウニーも、もち粉スイーツとして登場。勢いはとどまるところを知りません。
●家庭でも「もち粉」で手軽にもちスイーツづくり
市販のスイーツでは飽き足らず(?)、自分でもちスイーツをつくってしまうアメリカ人もたくさんいます。そこで活躍するのが「もち粉」。日本にいた頃はあまりなじみがなかったのですが、アメリカでは一般的なスーパーでも必ず目にするほどで、昔からかなり浸透しているようです。ブランドも複数あり、価格はひと箱200円前後と手頃。小麦粉代わりに使用することで、どんなスイーツもグルテンフリーに早変わりです。
もち粉はスイーツ以外にも、小麦粉を使う料理に代用されています。代表的なものが、「もち粉チキン」。もち粉をまぶして揚げた鶏のから揚げのことですが、ハワイ料理として知られ、本土にも浸透し始めています。
同じくハワイの「バター餅」も有名。秋田県などでつくられているバター餅とはちょっと違い、南国風です。小豆などが入った、よりケーキっぽい「もち粉ケーキ」も昔からハワイなどでつくられているご当地スイーツです。戦前に日本人移民が持ち込んだ「もち」文化が、アメリカでこのような進化を遂げるとは、当時の人々は思いも寄らないことでしょうね。
このバター餅、わが家では市販のあんを入れてつくるのですが、これが大好評! 日本が恋しい私と違い、あまり伝統的な饅頭や大福にありがたみを感じない夫も、絶賛しまくりです。レシピをご紹介しますので、皆さんもぜひお試しを。あんのほか、パイナップル缶、フルーツジャムなども合います。なにも入れず、プレーンでも楽しめますよ。
●バター餅
材料
- もち粉 1箱(約450g)
- 溶かしバター 大さじ12(約120g分)
- 溶き卵 5個分
- ベーキングパウダー 小さじ1
- バニラパウダー(またはバニラエッセンス) 小さじ1
- 牛乳 2カップ
- ココナッツミルク 1缶(約450ml)
- 砂糖 1カップ
- あん 適量
この分量で型にもよりますが、約8~12人分つくることができます。
【つくり方】
(1) オーブンを175度に予熱する
(2) あん以外の材料をすべてミキサーにかけ、よく混ぜる
(3) マフィン型やローフ型、ココット皿など、使用する型に油(分量外)を塗っておく。同じく、上にかぶせるアルミホイルの片面にも油を塗る
(4) 型に(2)を流し込み、好みの量のあんを落とす。アルミホイルの油を塗った面を下にして、型にかぶせる
(5) オーブンで約1時間焼く
ぜひ試してみてくださいね。