●捨てれば片づく。片づけば捨てられる!
「掃除は一生続く家事、だと私は思っています。ものに占領されていたら部屋は狭くなるし、時間も動きも無駄が増えますよね」
かつて、小笠原さんも大きな家具をもっていました。あるとき、引越し先の部屋に大きすぎる洋服ダンスが入らず、やむなく処分せざるを得なかった経験があります。
それ以来、なるべく家具はもたない。もつとしても小さなもの、と決めたといいます。
家が片づいていた方がいいもうひとつの理由は「カラダを動かすようになるから」。なんでもかんでも手を伸ばせば届く暮らしをしていると、人間は動かなくなります。ものを減らし、あるものを大事に使う。使ったらもとに戻す。これを徹底すれば、ものの出し入れをするだけで運動になります。
「病気になるなんて贅沢なこと、できませんから(笑)。家の中でしっかり体を動かすようにしています」
タンスがなければ洋服を減らさざるを得なくなります。入れ物があるからものが増えるのだし、入りきらないものはいやでも処分を考えることに。その過程で、自分にとって必要なものと量を見直すきっかけにもなります。
「ね? だから片づけると捨てられるようになるんですよ」
●今あるものを活かしきる!
お兄様のおさがりのセーター。お父様の着物の兵児帯。そのままでは使えないものも、リメイクすればまだまだ役に立ってくれます。お兄様のセーターは前を開いてジッパーをつけ、カーディガンに。お父様の帯はブラウスにつくり変えました。
「食器も見直して、どんどん減らしています。ひとり暮らしだから、同じお皿ばかり5枚もいらない。そんなに食べないから大きなどんぶりも卒業。ただ捨てるのはイヤだから、お好きな方にもらっていただいたりしてね。私が抱え込むよりも、その方が道具として活きるでしょう」
少ない食器でも、持ち前の美的センスでオシャレに組み合わせを楽しみます。
その美的なこだわりが、みじめにならないポイントです。
日々の食事も、健康のことを考えて品数多く、彩り豊かに。それでいて生活費は1日1000円を守っているのですから、大したもの!
「節約生活もものを減らすことも、できることからコツコツと。一見難しそうでも、工夫すれば乗りきれる。その工夫が楽しくなったら、こっちのものです」
良いもの、美しいものを知っている人だからできる「ケチじょうず」。たくさんのものに囲まれて、オシャレになりたい! とがんばってきた私たちにも、できそうな気がします。