人生100年時代と言われて久しく、自分は何歳まで元気でいられるのか、お金はたりるのか…。そう考える人もいるのではないでしょうか?
シニア向け団地にひとり暮らしをし、『おひとりさまのケチじょうず』『ケチじょうずは捨てじょうず』(ビジネス社刊)を上梓したエッセイストの小笠原洋子さん(71歳)は、いわゆる倹約家ですが、とても充実した日々を送っています。

そんな小笠原さんに暮らしを楽しむ知恵をうかがいました。

青い服を着た女性
きれいな白い髪にロイヤルブルーのカーディガンがすてきな小笠原さん。「リサイクルショップで300円だったんですよ!」。賢くおしゃれするコツは「素材のよいものを選ぶこと。いいものに出合えるまでは妥協しません」
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1日の生活費は1000円!心豊かにゲーム感覚で暮らす「ケチカロジー」とは?

若い頃から「貯金が大好き」で「ムダが嫌い」。東京郊外の賃貸団地に暮らす小笠原洋子さん(71歳)は「ケチじょうず」を目指して充実した日々を楽しんでいます。
ユーモラスでアイデアフルな、その暮らしぶりを拝見しました。

●寿命は70年だと思ってたのに…

若い頃から京都の画廊、東京の美術館…と、アートにまつわる仕事を続けてきた小笠原さん。昔からの貯金好きで、20代の頃は「1日300円ルール」に挑戦したこともあったのだとか。

「もちろん、そんなルールはあっという間に破綻しました(笑)。それじゃ食べていけませんよね。それで1日1000円に格上げ(?)したんです」

このルールは70代に突入した今も継続中。ただケチケチするのが目的ではありません。充実した節約生活を「ケチカロジー」と名づけ、いかにお金をかけずに心豊かに生きてゆくかを追求しているのです。かつては大好きなアーティストの作品を買ったこともありますし、お金を使うときは使ってきました。

机や陶器など
玄関入って突き当りのデッドスペースにしつらえた「ちょっとコーナー」。アラベスク模様が美しい花台に板を渡し、30代の頃に買った陶芸家・柳原睦夫さんの作品などを飾っています

「若いときから『雇われて働くのは45歳まで』と決めていたんです。やりたいことが山ほどあったから、とにかく45歳までは働いてお金を貯めて、その先はやりたいことを思いきりやろうと」

しかし年を取るにつれ、現実の厳しさに直面します。40代からは個人年金も始めました。死亡推定年齢を70歳として65歳から70歳まで受け取れるように。そして年金が始まる65歳までは、アルバイトでもいいから働こうと決めました。

「それでもどこか、年金がもらえるようになったら安泰だろうと思ってたんですよね。でも受給開始が近づいて、いくらもらえるのか試算してみて唖然としました。これほど少ないとは!」

さらに69歳を迎える頃には
「70になっても死にそうもない(笑)。あれ? 個人年金はあと1年で終わり? そう気づいて慌てました」。