秋の行楽シーズンです。週末に温泉旅行を、と考えている人も多いのではないでしょうか。みんな大好きな温泉ですが、「入り方のコツ」については意外と知られていません。そこで、温泉ソムリエの遠間和広さんに、温泉を徹底的に楽しむための方法を教えていただきました。
負担も少なくてリラックス!温泉では浮遊浴がおすすめ
「まず入浴前には、温かい緑茶を飲むのがおすすめです」と遠間さん。長風呂すると、発汗で血液の粘度は高まります。そのため水分補給は、入浴あとよりも、前の方が大事。「飲んですぐに水分が行き渡るわけではないので、入浴の15~30分前までに飲んでおきましょう」。
また、なぜ緑茶かというと、湯あたりを防ぎやすくするビタミンCを含んでいるから。「旅館なら部屋に必ず用意されていますし、熱いのでゆっくり飲むうちに体にいきわたります。しかも美肌効果のある緑茶のカテキンは、飲んで30分後に活性化するのでちょうどいいんです」。
いざ温泉ですが、入る前の“かけ湯”にもポイントが。かけ湯はさらっとではなく、体がお風呂に入ったと勘違いするくらい温まるまでしっかりかけるのがベストなんだそう。「入る前のかけ湯は、マナーのためだと思っている人が多いですが、じつはお湯の温度に体を慣らして入浴中の心筋梗塞や脳卒中などを予防する効果や、温泉の泉質に体を慣らす効果があります」。手や足など、心臓の遠くから順番にかけましょう。
温泉に漬かったら、「浮遊浴」を楽しむのがおすすめだと遠間さん。どんな入浴方法なのでしょうか?
「浮遊浴とは、体を浮かせた状態で湯に漬かる入浴法。やり方は単純で、浴槽の縁に頭を乗せ、ひざは曲げて足裏を浴槽の底につけた状態に。頭とひざ下を支えとする橋になるような体勢をとります。半身浴同様、体への負担が少ないのが特徴です。そのうえ、上半身まで無理なく湯に漬かれます。せっかくの温泉、肩まで温まりたいですよね」。
もちろん自宅の浴槽でもできますが、広々とした温泉は浮遊浴がより簡単。温泉成分が溶け込んでいることもあって、体が浮きやすいそう。
「“息を吐いたら沈み、吸ったら浮く”と呼吸に合わせ身をまかせてみるといいでしょう。まるで無重力空間にいるような感覚に。ストレスから解放され、リラックスできますよ」。
浮遊浴はスペースを取るので、混み合っているときは避けるなど、マナーに注意しながら、温泉の醍醐味を味わってみてくださいね。