おなかが痛い、周期が乱れる、イライラする…。毎月の生理に悩んでいる人は少なくありません。20~50代は、妊娠・出産というホルモンの激変に加え、育児や仕事のストレスにもさらされ、生理のトラブルを抱えやすい時期でもあります。
そこでESSEでアンケートを実施。ありがちな悩みについて、産婦人科医の吉野一枝さんにアドバイスをいただきました。
生理といえば…?
すべての画像を見る(全11枚)生理といえばやはり「憂うつ」。症状は違えどブルーな気持ちになるのは共通のよう
●アンケートに答えてくれた人
中心は30~40代でまさに女性ホルモンが急降下するお年頃。4分の1弱は出産未経験者
アンケートから見る生理の悩み
10代から50代くらいにかけて毎月やってくる生理。ESSE世代ともなると、長年の慣れやあきらめもあって、生理時の頭痛や腹痛、生理前のイライラ、周期の乱れなどの不調を抱えているのにもかかわらず、ついつい放置してしまいがちです。これに対し、「体の発する声に耳を傾けて」と注意を促すのは、産婦人科医の吉野一枝さん。
「ESSE世代は、妊娠や出産というホルモンの激変期であると当時に、家事や育児、仕事などのストレスにもさらされトラブルを抱えやすい時期。また、30代半ばからはホルモンの働きが降下し始めるため、それまで問題のなかった人が不調に陥ることも少なくありません」
つまり、私たちの感じる「最近の生理、今までとなんか違う?」には大いに理由あり。300人によるアンケートでも、ESSE世代の切実な悩みや不安があらためて浮き彫りになりました。
生理にまつわる3大悩みに専門家がアドバイス
アンケートの集計結果によると、生理の3大悩みは「痛み」「PMS」「加齢による変化」。そこでESSE世代が抱える代表的な悩みについて、吉野さんにアドバイスをいただきました。
【痛み】
生理とは、1か月周期で子宮内膜がはがれ落ち、体外へ排出されること。このときに腹痛や頭痛などの症状が現れ、人によっては日常生活に支障をきたすこともあります
生理痛はありますか?
Yes:67% No:33%
生理になんらかの痛みが伴う人は67%。痛みには個人差が大きく、「初潮から今までまったくない」という人がいる一方で、「痛くて夜間救急で運ばれた」経験のある人や「生理痛がひどく動けなくて毎月会社を休んでいたら、クビになってしまった」という人も
38人/300人中
●悩み:とにかく重くて毎月つらい。根本的な解決策ってあるのでしょうか?
生理=恐怖でしかありません。初潮から毎月、立っていられないほどの痛み。母親には「そんなものよ」と言われてしまい…。我慢し続けるしかないのでしょうか
答え:痛みの原因は隠れた病気かも。一度婦人科を受診してみて
日常生活に支障が出るほどの激しい痛みは、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が原因かもしれません。婦人科を受診し、医師に相談してみましょう。病気がない場合は、無理に我慢せずに鎮痛剤を飲むか、ピルの服用をおすすめします。現在では、低用量ピルやさらにエストロゲン量の低い超低用量ピルなど3種類の保険適用薬があり、月経痛の治療が可能です
14人/300人中
●悩み:鎮痛剤が効かなくて…。なにか原因があるの?
毎月鎮痛剤が手放せず、痛みだして飲んでから薬が効くまではまったく動けません。きれたら怖いので多めに飲んでしまいます。そのせいか近頃効かなくなってきたようで不安です
●痛みが痛みを増幅させるので鎮痛剤は痛みだす前に
鎮痛剤の飲み方を間違えています。毎月の生理で痛みがひどくなるのがわかっている場合、痛みを感じる前に飲み始めましょう。痛みは痛みを呼ぶので、激しい痛みになってからの服用では効果は期待できません。ただ、鎮痛剤だけに頼るのではなく、生活習慣を改善したり、衣服や食事で体を温めたり、暮らしを見直すことも大切。とくに喫煙はNGですよ
【PMS(月経前症候群)】
PMSというのは、生理前に現れる腹痛、頭痛、倦怠感、過食やイライラなどの症状のことでいまだ原因不明。複数の症状が出現することが多いのも特徴です
生理前に不調を感じることはありますか?
Yes:60% No:40%
60%の人が生理前にもなんらかの不快な症状で悩んでいるという結果に。「生理中よりもPMSの方がつらい」という声も少なくありません。出産の前後で症状が変わることは多くの人が経験ずみで「産後、生理痛は軽くなりPMSが重くなった」という声が圧倒的
120人/300人中
●悩み:出産後、生理前になると頭痛がするように。これってPMS?
いつも偏頭痛がしばらく続き、そのあとに生理がきます。これがPMSなのでしょうか?出産前はこんなことなかったけど、出産との関係はあるの?
答え:日常生活がストレスフルだと弱っている生理前に症状が出現
PMSの可能性が高いと思います。体が弱くなりやすい生理前に、普段のストレスが症状となって現れてきてしまうのです。産後、PMSに悩んでいる人が多いのは、出産をきっかけに家庭に入り、無意識に社会から切り離されたような気分になっているところに、育児ストレスが重なったという可能性も。ひどいようなら、鎮痛剤やピルの服用も考えてみましょう
45人/300人中
●悩み:PMSでイライラしてしまう…。家族にあたってしまうのがつらいです
生理前になると、イライラしていつも家族とぶつかってしまいます。でもおさまると、そんな自分に嫌気がさして落ちこむのです。どうしたらいいですか?
答え:生理現象のひとつととらえなるべくゆっくり休むこと
生理現象のひとつととらえ、家族の理解を求めることが大切。穏やかな性格なのに花ビンを投げつけたとか、突然包丁を振り回したという極端なケースもありますが、多くはゆったり受け止めることでしのげます。PMSは体が発する「休め」のサイン。この時期には大事な約束や計画を入れるのは避け、なるべくゆっくり休憩をとりながら過ごすようにしましょう
加齢による変化にまつわるトラブル
20~30代までは安定していた女性ホルモンの量が、40歳頃から急激に減少し始めます。それを受けて加齢とともにさまざまなトラブルが出現します
最近、生理がなにか違う…
20代 Yes:62% No:38%
30代 Yes:67% No:33%
40代 Yes:65% No:35%
「それまでと比べて生理がなにか違う」と感じる、または感じた人の割合は、20代までは少数派なのに30代以降は7割近い人がYES。その中身は「生理不順」「出血量が増えた/減った」「期間にバラつきが」など。更年期を心配したり「このまま閉経?」と案ずる声もちらほら
70人/300人中
●悩み:30代後半くらいからこれまで順調だった生理にトラブルが続出!
毎月順調だった生理が突然こなくなり、数か月後にきたと思ったらそれからあとはずっと不順です。量も以前と比べてすごく少なくなりどうなっちゃうんだろうと不安です
答え:ホルモンバランスの崩れが原因。つらければホルモン薬を使うことも
40歳前後の人の月経不順や不正出血の原因の多くは、加齢によるホルモンバランスの乱れ。40代以降閉経に向けてさらに不快な症状が出てきたりしますが、それもホルモンの働きの低下によることが多いです。貧血を起こすほど出血量が増えてしまったり、症状がつらくてたまらないなら、ホルモン薬を使うこともできます。受診して医師に相談してみましょう
75人/300人中
●悩み:おりものが増えてきて。普通、だんだん減るって聞いたのに…
年齢とともに減ると聞いていたおりものが、増えてきたような気がして心配です。いつも清潔にしているつもりなのに…。なにか原因があるのでしょうか?
答え:これまでの洗い方が間違っていたのかも
確かに年齢とともに減っていくのが普通です。増加している場合、洗いすぎている可能性大。正常な膣の中には、デーデルライン桿菌という常在菌がいて、細菌や微生物の侵入を抑えています。ところが、石けんで膣周りを洗ったり、ビデで膣の中まで洗浄したりすると、この常在菌を殺してしまい膣の自浄作用が低下。膣炎になることも。ぬるま湯で優しく洗うようにしましょう
●答えてくれた人
【吉野一枝さん】
医師。会社員やフリーターを経て、30代で医学部に入学。2003年によしの女性診療所を開設。女性の健康づくりをサポートしている