「家計を潤す」「貯蓄を増やす」と聞くと、まず「支出を減らす(節約する)」や「投資する」といった方法が思い浮かぶのではないでしょうか。

もうひとつ「お金を戻す」という方法もあります。仕組みを知ることで今まで受けられなかった控除が受けられたり、控除の範囲を気にしながらパートを増やしたりすることができます。これなら「ちょっとやってみよう」と思いませんか?

知っておいてソンのない、「戻ってくるお金」について、公認会計士・税理士の兵藤道隆さんに伺いました。

「戻ってくるお金」について
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知らないとソン!税理士に聞いた「戻ってくるお金」

今回、私がオススメする「貯蓄テク」は、「お金が戻ってくる仕組みを知る」ことです。「払い過ぎた税金を返してもらう」「もらえるお金をとりこぼさない」と考えて、もらえるお金はしっかりもらいましょう!

まず、タイムリーなものとしては「配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し」を把握しておきましょう。

●2018年1月から配偶者控除と配偶者特別控除が変わりました!

2017年まで、配偶者の年収が103万円以下の場合は、「配偶者控除」として、もう一方が38万円の所得控除を受けることができました。2018年からは、「配偶者特別控除」で同じ38万円の控除が受けられる配偶者の年収要件が150万円に拡大。パートの主婦などが「103万円の壁」を超えてよりたくさん働けることになりました。

また、配偶者特別控除の対象となる配偶者の年収要件が201万円にまで拡大。これは、夫の年収が増えるごとに、控除額が段階的に減少していく仕組みです。

控除を受ける側の年収制限も加わりました。1220万円以上だと控除が受けられないので、実質、高所得者の配偶者控除がなくなったことに。

●控除で働き方が変わる!手取りが増える!

夫の年収が1220万円以下で、妻がパートをしている世帯では、今回の改正によって妻が収入を増やし、世帯全体での手取りを増やしたとしても控除の対象になります。控除される金額は減る可能性があるものの、今までより妻がたくさん働いても夫が引き続き税制優遇を受けられるようになるとすれば、パートで働く時間を増やしたり副業を始めるなど、働き方も変わってきますね。

最近はやりの家庭を重視した働き方「ゆるキャリ」や、趣味を生かして隙間時間に稼ぐ「ちょい稼ぎ」にご興味のある主婦の方は、具体的にいくらまでおこづかい稼ぎをするともっともおトクなのか、この機会に確認してみては。

●改正後の配偶者特別控除額

配偶者特別控除
配偶者特別控除

改正後の配偶者特別控除額については、こちらの表を参考に。

医療費は家族全員分を合算!10万円を超えたら控除があります

さらに、医療費控除について把握しておくこともおすすめします。

医療費控除とは、医療費が年間で一定額を超えた場合に、所得控除を受けることができる仕組みです。これは、自分だけでなく、生計を一緒にしている家族全体の合計です。

国税庁のサイト

に記述されているとおり、家族全員の医療費を合わせて年間10万円以上(総所得金額が200万円未満の人は、総所得金額の5%以上)となるご家庭は、控除が受けられます。

自身で確定申告をしなければなりませんが、最高で200万円の控除を受けることができますので、医療費の領収書などは保管しておくようにしましょう。

サラリーマン家庭でも、こういう場合には確定申告をしないとソンです。医療費控除は体調を崩し弱ったときにこそありがたい制度なんです。

貯金をするうえで「出ていくお金」を減らす努力も大切なことですが、「もらえるはずのお金を取りこぼさない」スキルも同じくらい大事。コツコツ我慢するより、「もらえるお金」の情報収集に時間を割いた方が近道になる場合もあります。