この時期は里帰りをされる方は多いのでは。親との関係が良好であれば楽しみな再会でしょうが、なかには親と会うのが憂鬱という人も…。

 最近、「毒親」がなにかと話題に。子どもに嫉妬したり、過剰に干渉したり、場合によってはいつまでも自分の支配下に置こうと、無理難題を押しつけようとする親が、今増えているといわれています。

 本当のところ、実情はどうなっているのでしょうか。編集部でもアンケートを実施。母との関係に苦しむ主婦の声を集めてみました。結果から見えてきたのは、「両者のいびつな関係性」。早速、詳細を紹介していきます。

母親の存在に苦しむ女性はかなり多い!
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母親の存在に苦しむ女性はかなり多い!

質問:母との関係に悩んだことはありますか?

まとめ

 ESSE読者の6割以上が、「一度は母との関係に悩んだことがある」という驚き結果に。悩むようになったきっかけは、「ほかのきょうだいばかりをかわいがる」「夫婦仲が悪く、私にグチをこぼす」「進路を勝手に決められた」など。育児については「育児を手伝ってくれない」ことも「子育てに口を出す」ことも悩みの種になっているようです。

質問:実母との関係を断ち切ることを考えたことはありますか?

まとめ

 実際に断絶したり、一度でも断絶を考えたことにある人は42%。関係を断ち切ることが現実的な選択肢になっていることが伺えます。関係を断ち切る方法は、「ひとり暮らしを開始」「結婚を機に家を出た」「遠くに引っ越した」「電話にでない」「すべての連絡を絶つ」など、とにかく実母との距離をとりたいと考えるようです。

質問:忘れられない母からのひと言とは?

まとめ

 母のなにげないひと言が生きにくさの原因になったり、娘の人生に影を落としたりすることも。「今も忘れられない」というひと言をリストアップしてみました。なかにはとても、人の親とは思えぬ発言も…。

・テストで99点をとったが、1点の間違いを責められ、次のテストでは100点をとったのに「そうなの。よかったじゃない」とあっさり。大人になってもずっと覚えている(奈良県・39歳)

・「産まなきゃよかった」と言ったことを謝ってほしい(長野県・46歳)

・結婚するとき「一度家を出たら、二度と敷居をまたがせない」と言われ、子どもが生まれるまで帰省しづらかった(埼玉県・44歳)

・まるで被害者のように「私の人生返せ」と繰り返す(東京都・37歳)

・弱視の私に「どうしてこんなに不便な子なの」(青森県・41歳)

・妹ばかりをかわいがり、私には「あんたはかわいくない」と言い放った(神奈川県・34歳)

・「失敗作」と言われたこと。自分の娘には絶対に言いたくない(埼玉県・35歳)

・結婚式のとき「おまえと離れられてうれしい」と泣きながら言われた(埼玉県・33歳)

・夫や子どもと実家に帰ると「来なくていいのに」と冷たいひと言(三重県・45歳)

専門家がアドバイス!どんな母親も毒親になりうる

 昨今『毒親』という言葉がごく普通に使われるようになってきました。これは、どんな親のことをいうのでしょうか。臨床心理士で心理カウンセラーの信田さよ子さんは「母親に客観的な特徴があるわけではなく、子どもの感じ方次第」と指摘します。

 娘が母との関係を、つらい、しんどい、と感じるようなら、どんな母も毒親である可能性が。一方、うまくいっているように見える母娘関係のなかにも、親の支配や依存、干渉といった問題が潜んでいるケースもあるそうです。「つまり気づいたときから地獄が始まるのです」と信田さん。

専門家がアドバイス!どんな母親も毒親になりうる
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 では、今、母娘問題に悩む人が増えているのはなぜなのか。信田さんによると、背景にあるのは、(1)高齢化が進みパワフルな老人が増えていること、(2)少子化の影響で、娘世代のきょうだいが減っていることの2つ。

「かつてよりもはるかに元気でわがままな親世代を、少ない人数で支えなくてはならない時代が来ているのです。母がなかなか死なないから、娘はいつまでたっても娘を卒業できません」

 今回アンケートをとったESSE読者の親世代の中心は「団塊の世代」。この世代の母親の特徴は、「娘に対して、両立の難しい2つの生き方を同時に求めること」だそう。「ひとりの人間として、好きなように生きなさい」と自立を促す一方で、「結婚ぐらいしないとね」「孫の顔が早く見たいわ」「ひとりっ子はかわいそうよ」と、自分たちの世代に期待されてきた女の幸せまっしぐらな生き方も要求します。「親の人生そのものが理想と現実に引き裂かれているから、娘に相反する期待をぶつけてしまう。だから、ESSE世代には悩みを抱えた人が多い」といいます。

 では、母と娘のいい関係を取り戻すにはどうしたらいいのでしょうか。「まずは距離をとることですが、これは意志の力だけでは難しい。なぜ母とうまくいかないのかを、知的に検証してください。そのためには本を読んで勉強したり、カウンセラーなど第三者の力を借りることも有効です」

【アドバイスをくれた人:信田さよ子さん】

臨床心理士。原宿カウンセリングセンター所長。アダルトチルドレン、アルコール依存症、DVなど、家族問題についてのカウンセリングを行っている。『

母が重くてたまらない

』(春秋社刊)ほか著書多数