●60代。住み替えはせず、一人になった4LDKの家で「ダウンサイジング」

ものは減らし、楽しみを増やす。60代一人暮らしが機嫌よく生きるコツ
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今は家族がいても、配偶者との別れ、子どもの自立などで、いつか一人になる日が来るかも…。一度は想像したことがあるかもしれません。

夫の死に続き、子どもが自立して広い戸建てに一人暮らしをするようになった、シニアブロガーのりっつんさん(62歳)。36歳のときに当時38歳だった夫と死別。50歳のときに2人の息子が独立し、人生初となる一人暮らしを始めたりっつんさん。庭つきの戸建て4LDKで、一匹の猫と暮らしています。住み替えはせず、一人になった4LDKの家で「ダウンサイジング」を実行したそう。4LDKもある家での一人暮らしは、寂しくもあり、管理も大変だと思われますが…。

・ものを大幅に減らし、空室をつくる

「やはり覚悟していたとはいえ、夫、長男に続いて次男が就職で家から出ていったときは、大きな戸惑いがありました。これから先はもう話しかける人も食事をともにする人もいない。20年前からわが家に住み着いている猫はいますが、会話はできませんからね(笑)。それに、部屋は2つのフロアに4つもあります。一人で住むには広すぎるのはもちろん、管理も大変です」

そこでりっつんさんは、まずものを大幅に処分し、掃除しやすい“空室”をどんどんつくっていきました。

「夫の遺品も、2人の子どもたちが置いていった学習机や本棚なども潔く処分していきました。そうして残ったのは、1人につき段ボール1~2箱分に収まる最低限のもの。これらを押し入れにコンパクトに収めたら、4LDKのうち2部屋を、普段まったく使わない“空室”状態にすることに成功。今は『2LDK』で暮らしているようなものです」

●50代はキッチンを見直すいい機会。暮らしにあった分量、収納法へシフトを

50代からのキッチン収納は量より質。本当に好きなものを厳選して暮らす

子育ても落ち着き老後が気になり始める50代は、暮らし方を見直すのにもちょうどよい時期。なかでも「子どもの手が離れたときに、ぜひ見直したい場所がキッチンの収納です」と話すのは、整理収納アドバイザーの小林志保さん。

自身もアラフィフ世代で、同居する70代の義母も使いやすい収納法を実践している小林さんが考える、50代からのキッチン収納の見直し方のポイントとは?

<50代からのキッチンの見直し方>


・まずは食器の数を見直す
・食器棚の収納は、よく使うものを中段に
・調理器具は動線を意識して
・70代以上になっても使いやすいしまい方にする

食器の見直し方は簡単。食器棚に入っているものをすべて出して、「日常で使うか使わないか」で分けていきます。

安いからと100円ショップで買ったもの、なにかの景品でもらったなどの食器は本当に今後も使っていくのかを自分自身で問いかけてみましょう。このとき「もしかしたら使うかもしれない」「壊れていないからもったいない」と思ったものは、お別れどき。

迷うときは「これから残りの人生は本当に好きなものとだけ暮らす」ということを意識してみて。1年以上使っていない食器は本当に好きなものなのか、思い出で取っておいたものは今もワクワクするのか、判断がつきやすくなると思います。

●50代からの暮らしを楽にするコンパクトクローゼットのつくり方

50歳からの「コンパクトクローゼット」。服と一緒に手放すべきもの

好きな服だけを収納してすっきりと心地よく保ちたいけれど、つい服や小物がぎゅうぎゅうづめになったり、物置きのようになりがちなクローゼット。

50歳を前に服のもち方やクローゼットのあり方を見直し、コンパクトで使いやすいクローゼットづくりを実現している、整理収納コンサルタントの瀧本真奈美さんに、そこにたどり着くまでの経緯と、使いやすくすっきりとしたクローゼットづくりのコツを教えてもらいました。

・43歳でたくさん持っていた過去の服とともに、執着も手放した

「振り返ると、服にまつわるターニングポイントは43歳でした。それまでは当時トレンドだった大人かわいい服が大好きで、かろうじて着られていた少し短い丈のパンツやスカートをたくさんもっていました」

「自分が変わってしまうこと」がとても怖くて、変わらないでいることに執着し悪あがきをしていた時期でもあった、と瀧本さんは振り返ります。

「仕事内容の変化やプライベートでは初孫が誕生したことで、『変わらないでいる』ことよりも『新しい自分に変化する』ことに考えが及ぶようになり、しがみついていた過去の服と過去の自分にさようならができました。いつか着られるかも。それを着ていた頃の自分のままでいたいと執着するよりも、今からどんな自分になっていきたいかと先を見つめるようになったことで、手放しが進んだのだと思っています。

ほかにも…

・取り出しやすく、しまいやすいを重視しするように ・過去の失敗を活かした服選び ・服の本来の目的を大切にし、服を循環させる ・着ていて気分が上がる服、今着られる服にアップデート

することで、体力的にも無理がきかなくなり始める50代以降でも使いやすい、コンパクトなクローゼットづくりをキープできています。