豊かな未来を実現させるため、今、多くの企業がSDGsに取り組んでいます。住宅業界のこうした活動は、地球の環境保全はもとより私たちの生活にも大きく関わってきます。編集部では、SDGsに取り組むハウスメーカーや設備機器メーカーをピックアップ。各社の取り組みの一部を紹介します。
目次:
積水ハウス:ZEHの普及とともに在来樹種を植える活動を推進スマートソーラー:CO2削減とともに災害時にも安心な電力供給を大和ハウス工業:防災配慮住宅を開発し、“安心が続く”住まいを提供セキスイハイム:新築・改築時の廃棄物を減らして自然環境を守るTOTO:節水をはじめとした環境にやさしいものづくりYKK AP:樹脂窓の普及活動で持続可能な社会をつくる積水ハウス:ZEHの普及とともに在来樹種を植える活動を推進
省エネで快適な暮らしを最新技術で
積水ハウスが業界に先駆けて「環境未来計画」を発表したのは1999年のこと。以来、ZEH
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の推進をはじめ、さまざまな環境への取り組みを行っています。
代表的なのは、高断熱化や高効率設備、太陽光発電、燃料電池などを組み合わせてZEHを実現する「グリーンファースト ゼロ」の普及。新築戸建て住宅の建築実数で見ると2020年度は91%に、2013年の発売以来の累積棟数は約6万棟を達成しています。
また、広いリビングや吹き抜けなどを設け、魅力ある空間づくりとの両立を考えて取り組んでいます。快適性と省エネは、建物や窓の断熱性を高めることで実現させています。
※1 省エネと創エネを組み合わせることでエネルギー消費ゼロを目指す住宅
すべての画像を見る(全14枚)瓦型の太陽電池モジュール。複雑な屋根形状でも効率的に設置できます。
「5本の樹」計画で小さな自然を住まいに
自然が身近にある暮らしは心地よさを与えてくれるだけでなく、地域の生態系保全や環境の改善にもつながります。
そこで積水ハウスは、2001年より「5本の樹」計画を進めてきました。「5本の樹」計画とは「3本は鳥のために、2本は蝶のために」とのコンセプトのもと、地域の気候に合った在来樹種を植えることで住まいに小さな庭をつくろうというもの。
「庭木セレクトブック」や「植栽メンテナンスシート」を作成するなどして広く普及を図り、結果、昨年度の植栽本数は98万本、事業開始からの累積植栽本数は1709万本となりました。
スマートソーラー:CO2削減とともに災害時にも安心な電力供給を
日本のエネルギー自給率向上への貢献
2021年度のCO2削減目標5万413トンを掲げ、環境問題解決へ向けた活動を進めるスマートソーラー。蓄電池付太陽光発電システムの開発を行う同社は、災害などによる停電時でも普段と変わらない生活が送れるよう、大容量の「スマート蓄電システム」で電力の安定供給を図ります。
これらをより多くの家庭に普及するには低価格であることが重要と考えて、あわせて自治体の補助金制度の活用を推奨。ホームページでは補助金情報を一覧で表示し、制度を利用した際の価格をシミュレートできます。
千葉県木更津市にあるZEH研究住宅。平日は内覧も可能。
屋根一体型太陽光発電システム。
大和ハウス工業:防災配慮住宅を開発し、“安心が続く”住まいを提供
長引く避難生活に備えて、停電時の電力を確保
地震をはじめ、近年の豪雨災害など、私たちが住む日本は災害大国です。日本では自然災害時における一次災害だけでなく、長引く避難生活に備え、“安心が続く”住まいであることが求められています。
そこで大和ハウス工業は、二次災害(被災後の暮らしに支障をきたす被害)にも対応できる防災配慮住宅「災害に備える家」を2019年に発売。雨天でも約10日間の停電に対応できる「全天候型3電池連携システム」
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を搭載するなどし、災害時の家族の不安やストレスの軽減に配慮します。
※2 太陽光パネルとエネファームでつくった電気を家庭用リチウムイオン蓄電池に蓄えるシステム
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セキスイハイム:新築・改築時の廃棄物を減らして自然環境を守る
廃棄物は「3R」で資源として再利用
ZEHの普及はもとより、余剰電力売買サービス「スマートハイムでんき」
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等にも注力しているセキスイハイム。さらに脱炭素社会
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に向け取り組んでいるのが、環境汚染や廃棄物を軽減する活動です。
建築の際に出る廃棄物は年間約1865万トンに上るといいますが、ゴミの発生抑制、再使用、再資源化を意味する「3R」を徹底し、発生した廃棄物を資源として再利用。たとえば、外壁パネルの製造過程で発生する端材は破砕して木チップとセメントに分け、リサイクル原料として活用するなどしています。
※3 セキスイハイムオーナーより買い取った電力は、当社グループ内の事業等へ活用 ※4 温暖化ガスを最小限に抑え、回収して「CO2排出実質ゼロ」を目指す社会のこと
太陽光エネルギーを賢く使い、快適な生活をかなえる「スマートパワーステーション」。
新築・改築時の廃棄物
TOTO:節水をはじめとした環境にやさしいものづくり
環境負荷の軽減「あんしんリモデル」がサスティナブルプロダクツ選びをサポート
住宅設備は毎日、そして長期間使用するものなので、商品を使う段階における節水や省エネが環境配慮に大きく貢献します。
そこで新築時での商品選定だけでなく、リモデル(リフォーム)でもこのような商品に買い替えることが大切であるため、安心してリモデルに取り組んでもらえるよう「あんしんリモデル」活動を推進。365日体制で相談を受け付けるサポートデスクを設置し、リフォームの進め方や商品選びについてアドバイス。「あんしんリモデル」が、リフォームから一歩前進した、新しい生活スタイルを提案します。
「コンフォートウエーブシャワー」は適度な刺激のある浴び心地を感じさせながら、従来品よりも約35%節水します。
サスティナブルプロダクツを2030年までに78%まで向上!
TOTOグループは、「持続可能な社会」と「きれいで快適・健康な暮らし」を実現するという意志をもって、SDGsへの貢献を目指しています。その代表的な取り組みが、「きれいと快適」と「環境」を両立する「サスティナブルプロダクツ」の普及です。
トイレ、温水洗浄便座「ウォシュレット」
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、タッチレスで使用できる自動水栓、「魔法びん浴槽」
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などの商品をグローバルで普及させることにより、地球環境に配慮した、豊かで快適な社会の実現に貢献。2030年までに「サスティナブルプロダクツ」の商品構成比を78%まで向上させる計画です。
※1 「ウォシュレット」「魔法びん浴槽」はTOTO株式会社の登録商標です
力強く渦を巻くようなトルネード洗浄が特徴。少ない水で汚れを効率よく洗い流します。
COLUMN「水」について知っておきたいコト
1.地球上にある水で、私たちが使用できるのはわずか約0.01%!
地球上に存在する水の量は約97.5%が海水などで、淡水は約2.5%しかありません。その2.5%の淡水もほとんどが南極や北極の氷で、実際のところ私たちが利用できる河川・湖沼などの水はわずか0.01%しかないのです。
将来的には、人口の増加や気候変動により、西アジアや北アフリカを中心に水不足が深刻化するといわれています。2050年には世界人口の40%が水不足に直面すると予想されています。
2.水を使うだけでもCO2が発生するんです
私たちが日々使うシャワーやお風呂は水を加熱するときにガスや電気が必要で、その際にCO2が発生します。また、浄水場や下水場、各家庭へ届けるポンプも電力を使用するため、多くのCO2が発生します。節水することは社会全体の節電やCO2削減につながるのです。
YKK AP:樹脂窓の普及活動で持続可能な社会をつくる
エコや窓に対する意識を高めるための社会貢献活動も
YKK APは「我慢による省エネ」ではなく、健康、安全・安心と省エネルギーを兼ね備えることが大切と考えています。そこで力を注いでいるのが、樹脂窓をはじめとした高断熱窓の普及。日本の樹脂窓の普及率は22%で、韓国80%、イギリス76%、アメリカ65%などに比べても出遅れていることがわかります。
政府が掲げるカーボンニュートラル
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実現には、開口部を断熱し暖冷房エネルギーを削減することが重要なのです。さらに社会貢献活動の一環として、親子で省エネと健康を考えるオンライン環境学習コンテンツを公開し、ライブセミナー「窓から考えるエコハウスづくり」を配信しました。
※2 温室効果ガスの排出量と吸収量を相殺して、排出量をゼロにすること
出張授業「窓から考えるエコハウスづくり」で作成した模型。風の流れ方や窓の断熱性を学習。
高性能トリプルガラスの樹脂窓。エネルギー消費を抑え、室内の温熱環境を改善。
断熱性の高い玄関ドア。通風機構を使用することで通風・換気もできます。
イラスト/ナカオテッペイ ※情報は「住まいの設計2021年10月号」取材時のものです