学習机を子どもに用意してあげるとしたら、どんなものがよいのでしょうか。長く使いやすい学習机の素材、サイズ、見た目などについて、家具工房「フリーハンドイマイ」の代表・今井大輔さんが語ります。今井さんは、ふたりの娘のためにオリジナルの学習机を製作。そのときの経験を振り返ります。オリジナルはもちろん、市販の学習机選びの参考に!

ダイニングテーブルで作業する姉妹
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子どもに学習机は必要?ダイニングで宿題をしたがるケースも無垢材の天板はさらっとした質感が魅力仲のいい姉妹でもプライベートな空間を確保することは大切長く使い続けたいならシンプルに。奥行は広めに

子どもに学習机は必要?ダイニングで宿題をしたがるケースも

ダイニングテーブルで工作する姉妹

私個人の意見としては、小学生のうちは学習机は必要ないと思っております。ライフスタイルにもよりますが、小さいうちは親のそばで勉強をするお宅が多いからです。代わりに、小学生のうちは、ランドセルなど学校で使う道具を置く整理棚を用意してあげることが大切です。

ランドセルや絵の具セット、習字の道具など、床に置かれがちなものが置けるシンプルな棚があると自然と片づけの習慣が身につきます。あとから自分なりにアレンジしていくと、愛着のあるスペースができあがるのではないかと思います。

学習机をつくる作業の一部を手伝う姉妹

わが家は、長女が小学4年生、次女が1年生のときに、姉妹で使う子ども部屋を用意しました。その2年後、娘たちに学習机をつくる作業の一部を手伝ってもらったのも、今となってはいい思い出です。「よし、これからは机にも愛着を持ってここで勉強するだろう」と期待していました。

ところが、結局ふたりとも小学校を卒業するまではダイニングテーブルに宿題を持ってきて、消しゴムのカスをまき散らしながら勉強していました。やはり母親のそばで勉強するほうが安心するようです。

相談に来たお客様にこの話をすると「ああ、そういえばうちもそうでした」と共感されることも多く、学習机の相談に来たのに、結局つくらなくていい、という話になってしまったこともあります(笑)。

無垢材の天板はさらっとした質感が魅力

わが家の学習机は、なるべく手っ取り早くつくれる形で、組み立て式。少女っぽくなくてずっと使えて飽きないような形にしました。また、少しでも自分たちが手を加えれば大事にするかなと思い、加工作業と家での組み立てを少し一緒にやってもらいました。

作業自体は楽しんだようですが、自分たちで作業したからこの机を大事にしよう、という気配はそれほど感じられません(笑)。

白い部分はシナ合板にペンキを塗って仕上げ、天板と、引き出しの手掛けには「セン」と「ナラ」の無垢材を使っています。手前のひじ掛けのあるイスは、14年前に長女用につくったハイチェアで、その後脚をカットして長女がしばらく使い、今は次女が使っています。

横に2台並べた学習机

無垢材の天板は、夏場に腕を置いてもペタッと肌が触れる感じが気にならず、さらっと感じるのが魅力です。ナラやタモ、クリなどの環孔材(水分や養分を運ぶ導管が年輪に沿って環状に配列している広葉樹)は硬くてしっかりとしていますが、木目がちょっとデコボコした感じになります。

サクラやクルミ、カエデなどの散孔材(導管が木部全体に不規則に分布している樹種)は、木目が細くてフラットに仕上がります。書きものなどはしやすいのですが、ナラやタモに比べるとやややわらかいので、多少傷はつきやすいです。個人的には、パソコンや書き物以外にちょっとした作業もしたいので、しっかりとした環孔材を使う方が好みです。

仲のいい姉妹でもプライベートな空間を確保することは大切

仕切り板を立て向かい合わせに並べた学習机

マンション住まいの頃、娘たちは机を横に並べて使っていましたが、新居に移ってからは写真のようなレイアウトに。きちんと仕切り板を立てて分けたほうがいいのでは、という妻の意見でこのレイアウトになっています。

仕切り板はシナ合板の有孔ベニヤでつくっているので、お気に入りのアイドルやアニメのキャラクターのポスターやらを引っ掛けているようです。娘たちを見ていると、仲のいい姉妹でもきちんとプライベートな空間を確保することは大切だと感じます。

長く使い続けたいならシンプルに。奥行は広めに

学習机とイス

なかには、学習机を嫁入り道具に持たせたい、というお客様もいます。長く大切に使いたいという場合は、大人になっても使えるように、シンプルなデザインで、しっかりとした学習机をつくるという選択肢もあります。

サイズは、小さくても幅は80~90㎝くらいあると使いやすいです。余裕があるならもう少し広くても。また、座るためのスペースは60㎝もあれば十分なので、あとはちょっと物がしまえるように棚があったり、細長い引き出しがあったりすると、書類や本がしまいやすくなります。

机の場合、どちらかというと奥行のほうが大切です。最近はデスクトップパソコンを使わないので、奥行きは50㎝くらいでいいというオーダーも増えています。でも、パソコンを置いて書き物もしたい、という場合はさらに手前に20~30㎝くらいのスペースがあると使いやすいです。手前が広いとタイピングもしやすくなります。

素材は、多少ラフに扱っても大丈夫な無垢材や金属などのしっかりした脚を。天板は、個人的には無垢材がいいと思っています。

子どもの家具をどうするかは、結局はそのお宅のライフスタイルや考え方次第ですが、私の経験やわが家の娘たちの例が参考になれば幸いです。

●教えてくれた人/今井大輔さん
暮らしに寄り添うオーダーキッチンやオーダー家具を手掛ける家具工房「フリーハンドイマイ」代表。神奈川県高座郡に工房とショールームがある