青森出身の妻が集めた民芸品や素朴な台所道具が、クールな印象のキッチンにあたたかみを添えているTさんのお宅。もともと整理整頓が大好きという夫妻は、中古マンションのリノベーションで「見せる収納」を存分に楽しめるスペースを豊富に設けました。ショップのようにスタイリッシュな空間での暮らしを楽しんでいる住まいを訪ねました。
すべての画像を見る(全15枚)キッチン隣接のパントリーは余白のある美空間
独立型だったキッチンは広いⅡ型のオープンキッチンに変更。すぐ隣には、以前のキッチンスペースを丸々活用してパントリーを設けました。アーチの開口デザインはTさん夫妻からリクエストしたもので、「内装のイメージとの調和を狙いました」と夫。開口部の右手は、LDKと廊下を仕切るガラス戸の引き込みスペースになっています。
キッチンとの行き来がしやすいレイアウトのパントリー。可動棚をコの字型に設置してたっぷり収納できるつくりですが、必要なものだけが厳選されているので「余白」のある美しい空間に。ミネラルウォーターをストックしている木製ケースなど、収納グッズもおしゃれなものが使われています。
リビングダイニングから玄関方向を見たところ。床はオークの無垢材を採用しました。天井高を確保したまま床材を新たに敷くために、既存床のモルタル部分を削る必要があり、その工事が大変だったとか。
リビングにはラタンのチェアを2脚並べて。塗装仕上げのグレーの壁など、内装のイメージは夫妻のお気に入りのショップ「YAECA」からヒントを得ました。
【この住まいのデータ】
▼家族構成
夫30代 妻30代 長女(未就園児)
▼リノベを選んだ理由
戸建ての購入も検討していたが、気に入る物件になかなか出会えずにいた。そんなときにリノベーション雑誌でリノベの自由度の高さを知り、「自分たちの好みの内装に変えられ、物件の選択肢も増える」と中古マンションの購入+リノベを選択した。
▼住宅の面積やコスト
専有面積/77.33㎡ 工事費/1520万円(税込み、設計料別)
玄関土間とウォークインクローゼットも整然と
玄関横にあった個室のひとつを玄関土間と予備室に分割。こちらは玄関土間で、予備室との間仕切り壁には木枠の室内窓を設置しました。靴のほかベビーカーやスーツケース、アウトドア用品などの収納に重宝しています。「今後は育児用品がどんどん増えていくと思うので、可変性と拡張性を残しておいたほうがいいかな、と考えました」と夫。
玄関横にあったもう1部屋は寝室にして、内部にウォークインクローゼットも設けました。採光と通風を確保するため、寝室との間は扉なしに。
ウォークインクローゼットの内部にはL字型にハンガーパイプを設置。「収納力は見た目以上で満足しています」と夫。枕棚に並んだケースには、中身が分かるようにタグを。衣類カバーや下段の引き出しなど、収納グッズを統一して、クローゼットの中も美しく整えられています。
自分たちらしくカスタマイズしている収納スペースの数々
スクエア型の洗面ボウルが印象的なオリジナルの洗面台には、古道具店で購入したヴィンテージの鏡を組み合わせました。洗面台の下部はオープンなつくりにして、カゴで使いやすくカスタマイズ。
洗面台横の壁面に取り付けたキューブ型の収納ボックスは無印良品のもの。「元々、棚を造作してもらう予定でしたが、予算の都合でこちらを自分で設置しました。結果として、遊び心の効いた空間になりました」(夫)。おしゃれなボトル類をディスプレイ収納して楽しんでいます。
浴室と洗面室の間に設けた脱衣室。タオルや洗濯グッズがおしゃれなショップのディスプレイのように並んでいます。洗濯機は背面側に設置しました。
間取り変更にともない少しだけ廊下が広くなったことから、ワイドスパンの飾り棚を新設。外灯のようなブラケット照明も取り付けて、雰囲気のあるコーナーに仕上がりました。
パントリー、玄関土間、ウォークインクローゼット、3つの使いやすい収納を設けたことで、室内はいつもすっきり。「色彩のイメージや収納スペースのサイズは、要望を伝えて形にしてもらいました」とTさん夫妻。雰囲気のあるグレーの壁に暮らしの道具や趣味の品々が映える、美しい住空間が完成しました。
間取り(リノベーション前後)
リノベーション前
リノベーション後
設計・施工・写真提供/nuリノベーション
一人ひとりの価値観を反映したオリジナリティのある住まい。そこで過ごす”いい時間”の創造をコンセプトに掲げる。リノベ向き物件の仲介はもちろん、設計前にはしっかりとヒアリングを行い、高いデザイン力で家族の理想をカタチに。施工実績は約1000件(2021年6月現在)。
※情報は「リライフプラスvol.41」取材時のものです