アズキと米麹を炊飯器で発酵させてつくる「発酵アズキ」。あんこの代わりに使うのはもちろん、調味料として料理でも大活躍すると、注目を集めています。発酵生活研究家の栗生隆子さんに、つくり方とアレンジレシピを教えてもらいました。
すべての画像を見る(全11枚)血糖値、血圧、中性脂肪値が下がる「発酵アズキ」の健康効果
「発酵アズキ」が注目されているのは、そのおいしさだけでなく、さまざまな健康効果が実証されているからです。
アズキ博士と呼ばれる名寄市立大学栄養学科の加藤淳教授は、「アズキに含まれるポリフェノールは抗酸化作用が強く、血糖値、血圧、中性脂肪値を下げる効果があることが証明されています」と話します。
と言えるでしょう。
「アズキの成分は、食物繊維が多いのも特徴。アズキはゆでたゴボウの2倍、焼き芋の3倍という量で、便秘解消やデトックス作用が期待できます。カリウムの含有量も多いので、高血圧の予防、むくみの解消、利尿作用があります。また、鉄分はホウレンソウの2倍なので、貧血対策にもおすすめです。血行を促進してくれるビタミンB1も豊富で、美肌・美髪、冷え解消にも役立つでしょう」(加藤教授)
さらに、「発酵アズキ」は米こうじと合わせて発酵させるため、発酵による腸の活性化や、ビタミンの働きによる美肌効果も期待できます。
そんな体にいいことづくめの「発酵アズキ」をさっそくつくってみましょう。
●炊飯器で簡単につくれる「発酵アズキ」
【材料】
・アズキ 200g
・米こうじ(乾燥または生) 200g
・水 600ml
【道具】
鍋、炊飯器、ボウル、ヘラ、マッシャーまたはジッパーつき袋
【つくり方】
(1) アズキの渋切り(アク抜き)をする。アズキを洗い、たっぷりの水(分量外)を鍋に入れて2~5分ほど煮る。ザルに入れて湯をきる。
(2) 鍋に(1)のアズキと水300mlを入れて火にかける。沸騰したら中火にして40~60分ほどやわらかくなるまで煮る。途中で100mlの水を3回加えると皮が破れやすくなり、早く煮える(びっくり水)。やわらかくなる前に水分が蒸発したら水(分量外)をアズキの高さまで補う。
(3) やわらかく煮えたアズキの粗熱が取れたら、マッシャーを使って皮をつぶす。ジッパーつき袋にアズキを入れて、手でつぶしてもよい。
(4) 米こうじをボウルに入れ、手ですり合わせるようにしてほぐす。
(5) 生こうじの場合はこうじの半量の水(分量外)を加えて水分を補う。乾燥こうじはこうじと同量の水(分量外)を加えて5分ほど吸水させる。
(6) (3)のアズキに(5)のこうじを加えて、ヘラでよく混ぜる。
(7) (6)を炊飯器に移す。フタをあけたままで、ふきんをかぶせて「保温キー」を押し、8時間ほど保温する(60℃前後をキープ)。
炊飯器の上に箸をおくと、ふきんが炊飯器に垂れてしまうのを防止できる。水分量はアズキと米こうじの高さよりやや下が目安。ときどきかき混ぜて、水分がたりないようなら、50~100mlの水を加える。
※注意点 炊飯器のフタを閉めたり、「炊飯キー」を押すと温度が90℃以上になり、こうじ菌が失活して発酵しません。
(8) 完成。好みで塩を加えてもOK。さめたら容器に入れて冷蔵庫で1週間ほど保存できる。冷凍庫での保存は1か月。
「発酵アズキ」を砂糖の代わりに料理に使うと、まろやかな甘さに
「発酵アズキを料理に使うと、自然な甘さをプラスでき、こうじの力が消化吸収を助けてくれます。さらにこうじに含まれている酵素が、食材の旨みを引き出してくれるので、料理に少し加えるだけでおいしく仕上がります」と、栗生さん。
ただし、加熱すると酵素の働きが弱まるので、料理の最後の仕上げに入れるのが健康効果を高めるコツです。
●発酵アズキのトマトチキン煮込み
【材料(2人分)】
・鶏もも肉 250g
・タマネギ 中1個
・ジャガイモ 1個
・シメジ 1/2パック
・カットトマト缶 1缶
・発酵アズキ 大さじ3
・ケチャップ 大さじ1
・塩、コショウ 各少々
・イタリアンパセリ 少々
【つくり方】
(1) 鶏肉は一口大に切る。玉ねぎは1cm幅にスライス、ジャガイモは2cm角に切る。シメジは手で裂く。
(2) 鍋に油(分量外)を熱し、(1)の鶏肉、玉ねぎ、ジャガイモの順番で炒める。
(3) 水を加えて蒸し煮にする。火が通ってきたら、トマト缶、発酵アズキ、ケチャップを加えて煮込む。
(4) 塩、コショウで味を整えて、器に盛りつける。イタリアンパセリを添える。
[1人分454kcal/塩分0.5g]
今回レシピを紹介してくれた栗生隆子さんの新刊『
やせる! 血糖値が下がる! 発酵アズキレシピ』(扶桑社刊)が現在発売中。おかずからデザートまで、ほかにも発酵アズキを使ったレシピがたくさんあるので参考にしてくださいね。