中世フランス貴族とグラムロックが合体したような強烈なビジュアルで話題の音楽ユニット「レ・ロマネスク」のTOBIさん。キワモノに思えるが、実は、海外での人気は絶大!世界10か国35都市で公演し、特にフランスでは北野武さんより有名な日本人なのだ。そんなTOBIさんに、実家について、子ども時代の思い出から、今だから話せるエピソード、実家を巣立つときの心境などをざっくばらんにお話を伺いました。
TOBIさんにとって実家とは?
「実家は、その昔ヒバゴン(類人猿)で有名になった広島の比婆郡(現・庄原市)。
東京から帰省すると、新幹線に乗っている時間より、広島で降りてからのほうが長いくらい(苦笑)。
幼い頃は田舎と思っていなかったんですが、中学の教科書で“日本の過疎”の項目にうちの町が載っていて、衝撃を受けました。
田舎の子どもというと、“ランニングで野山を駆け回り”と勝手なイメージが先行しがちですが、山はマムシが出るし、川は急流で溺れる……大人から『山に行ったら死ぬぞ』『川に行っても死ぬぞ』と厳しく言われていたので、家に引きこもってました。
本当にショッパイ思い出ばかりなんですよ(笑)」
このように、TOBIさんの実家はUMA(未確認生物)が出没するほどの田舎だったというのは驚きだ……。
「歩道橋」もなかった!? TOBIさんにとって実家とは?
高校に進学したTOBI少年は広島市内で寮生活を始め、人生初の“自分の城”(自室)を手に入れる。
そこで「歩道橋を渡る」「点滅していない信号がたくさんある」「駅に駅員がいる」など、数々の初体験を満喫したらしい。
TOBIさんの実家のあたりには当時、それほど何もなかったようだ。
TOBIさんの実家の周りの風景
「実家では父が乾物屋もどきをやっていて、1階が店舗と作業場。
自分の部屋はなく、中学生までは客間が自室代わりでした。だから、来客があればどかなければならず、自分のモノを持たなかった。何もないので自室ではやることがなくて……」
月が異常に明るい実家のある町
そんなTOBIさんにとって実家とは?
「僕は人生のリセットボタンを押しすぎているので、実家は“前前前世”くらいの距離感がある。
人は過去をノスタルジーで美化しがちですが、僕にとって実家は、やっぱりショッパイ思い出がいっぱいの場所(苦笑)。
ちょっと言い過ぎかな(笑)」
pfofile
TOBIさん(レ・ロマネスク) 広島県出身。慶應大学経済学部卒業。2000年、レ・ロマネスク結成。2008年、春夏パリコレでライブを行い、世界的に注目を集めた。近著に『レ・ロマネスク OfficialBook ジュテームのコリーダ』(扶桑社刊)がある。