●自分なりに調べたことが裏目に
「さすがにこれはおかしい」と感じた美雪さんは、いろいろと調べました。本来なら病院に行く方がよかったのですが、自分が医療現場にいるということもあり、なかなかその気になれません。むしろ「自分の問題」ととらえ、自分で解決しようと考えたようです。
自分なりに調べた結果、不安症・抑うつ・パニック障害・適応障害あたりが近い感じがしました。その改善策として、サプリメントがいいと聞けばそれを購入したり、整体がいいと聞けば遠方であっても治療に行ったり、冷えが問題と聞けば体を温めることをしてみたり…。
気づいたことを次から次へとやりましたが、すぐに効果を感じることはなく、そのたびに「これじゃないんだ。なにか別のことがあるはず」と思ってしまいます。
その結果、また「頭が真っ白になってへたり込む」ことが増え始めました。「もうどうしていいのかわからない」…そう感じて、ついに私の元を訪れたそうです。
不安を解消するために行動し続けるのも、うつ傾向の行動のひとつ
一般的にうつ傾向の人は「行動できない、動きたくない」という感覚になることが多いのですが、美雪さんのように「不安を解消するために行動し続ける」という人もいます。
この人たちは常に考えるということをしがちです。そのため「考えずにゆっくりしなさい」というのが難しいのです。不安から衝動的に行動すると、間違えることも増え、その結果さらに不安が増えるという悪循環に陥ることもあります。
このタイプの方の相談を受けるとき、私は3つのことをアドバイスしています。
(1) 行動したくなったら、一度体の動きを止めて深呼吸する。 (2) 「その行動にリスクはないか?」について探求する。できれば代替案も考える。 (3) あえて「できていること・うまくいっていること」を考える時間をとる。不安に対して衝動的になる人は、一連の動きが自動化されています。そこで一旦動きを止めて深呼吸をすることにより、自動化のパターンを崩すことができます。
また行動の基本が「不安回避」にありそれが最優先されるのですが、同時にリスク分析をすることで歯止めをかけることができます。そのときに代替案もつくってあれば比較検討できるので、客観的に自分を観察するきっかけになります。
また「考えすぎる」という面を逆に利用して「プラスの面について考える時間を増やす」のもいいです。悩みは心が安定した状態で取り組むのがベストなので、プラス探求での状態をつくります。
不安から衝動的になるタイプの人について3つの提案をしてきましたが、「信頼できる人に相談する」ことも大事です。当てはまると感じた人は、ぜひ試してみてください。