不要なものを手放したり、小さな家に住み替えたり…。ライフステージの変化に合わせた「暮らしのダウンサイジング」に注目が集まっています。

1LDKのマンションで一人暮らしをしているブロガーのショコラさんは、60歳を迎えた頃、「自分になにかあったとき、子どもたちに迷惑はかけたくない」と、身の回りのものを減らす「生前整理」ならぬ、「老前整理」を始めました。

そんなショコラさんに、今の暮らしに至った経緯や、“老後”への向き合い方を伺いました。

著書が話題のショコラさんにインタビュー
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1LDKの住まいを好きになろうと決めた――話題のブロガー・ショコラさんインタビュー

毎月12万円のパート収入でやりくりをしながら、ものを減らしてシンプルに暮らす――そんな生活をつづったブログに注目が集まり、『

58歳から日々を大切に小さく暮らす

』(すばる舎刊)を出版したショコラさん。
発売されるやいなや、大きな反響を呼び、10万部のベストセラーになっています。

●広い家に引っ越したいと思ったこともあった

――ショコラさんの本やブログは、ショコラさんの子ども世代である30代、40代からも共感の声があがっています。広い家や多い持ち物に慣れていると、生活のサイズをダウンさせることはハードルが高いものですが、ショコラさんは、現在お住まいの1LDKのマンションを購入されたとき、迷いはなかったのでしょうか?

「ここを購入した17年前は、“年をとると賃貸住宅を借りられない”という風潮がありました。マンションの値段も底値と言われていましたし、友人のすすめもあって、思いきって新築を購入しました。“狭すぎる”という後悔した時期もあったんですが、今は満足しています」

ベッドの近くにランプ

――マンション購入後、もっと広い住まいに引っ越したいと思ったことはありますか。

「もちろんありました。私は離婚して一人暮らしなのですが、母や息子たち、友人たちが遊びに来ることもあって、“人が泊まれる部屋”が欲しくなったんです。50歳を過ぎた頃にここを売って、同じマンション内の2LDKを購入しようかと考えたこともありました。

でも、そこでハッと“自分はぜいたくな考えをしてるんじゃないか”って気がつきました。息子たちも独立したら頻繁に泊まりにこないだろうし、母も足を悪くしていましたし、“この先だれが泊まりに来るんだろう”と考えて。使わない部屋をもっている意味はないし、それよりも今住んでいるこの部屋のことを好きになろうと思ったんです」

棚と時計

――部屋を拝見すると、とてもすっきりしていて、本当に気に入っている家具や雑貨が厳選されています。ものはどのように手放してきましたか?

「会社をやめてから、徐々に減らしてきました。なぜなら、歳をとったら掃除機をかけるのが面倒になって(笑)。体力も落ちてきたし、ものがあるとどかさないといけない。洋服も、もっているものを把握できていると、同じものを買ってしまうこともないので、減らしていきました。

そもそも離婚するときも、嫁入り道具や洋服をほとんど置いて行ったんです。10年近くたって、その家を取り壊すことになったので、息子に『必要なものを取りに来たら』と言われて。でも行ってみたら、流行遅れの服ばかりだし、今の生活に合わないし、案外もっていきたいものはなかった。そういうものだな、と思いました」

掃除機収納
掃除機はカウンター下に収納