うつ病などメンタルの不調は、大人の病気というイメージがあります。が、厚生労働省の調べによると、青年期のうつ病の有病率は100人に1~7人程度とされています。

「うつ専門メンタルコーチ」として、1万人以上のクライアントを指導し、

『1日3分でうつをやめる。』

(扶桑社刊)などの著書もある川本義巳さんに、子どもがうつ傾向になったときの具体的なエピソードと、気をつけたいポイントを教わりました。

本を読む男性
優等生の息子が学校を休みがちに…どうすればいい?

自慢の息子が学校を休みがちに。親はどう対処したらいい?

●勉強もスポーツもできる優しい息子が、ある日学校に行けなくなって…

私は教育委員会で不登校・引きこもりの相談もしているので「子どもの相談にのってほしい」という依頼もよく受けます。純子さん(仮名)もそのお一人でした。

純子さんには大輔君(仮名)という高校2年生の息子さんがいらっしゃいました。大輔君は小中学校と成績も優秀でスポーツができ、性格も優しいという、ご両親にとって自慢の息子でした。その大輔君が「学校に行けなくなってしまった」というのです。

純子さんの話をまとめると、こうです。

・本人が志望していた公立の進学校に入ることができ、両親もほっとしていた。 ・中学まで続けてきたサッカーを高校でもやれるということで、最初は毎日楽しそうに学校に行っていた。 ・部活は朝練があり、夜も遅い。土日は遠征や試合とほぼ休みがない状態。 ・成績が落ちることもなかったので、気にしていなかったが、2年生の夏休みが終わったころから、表情がすぐれず、口数が減り、食も細くなった。 ・そのうち朝起きてこなくなって、朝練を休むようになった。それでも学校と放課後の部活はがんばっていたが、早退したり、欠席したりが始まり、ついに3日連続で休んでしまい、心配で仕方がない。精神科に連れていった方がいいのか悩んでいる。

純子さんの話を聞く限り、大輔君はうつ状態なのかも知れないと感じました。ただ、ご両親としてはすぐに病院に行くよりも、カウンセリングなどの方がいいのではないかと思って、私のところに来られたそうです。

コーチングを引き受けるにあたって、こちらからいくつか質問をさせてもらいました。その結果わかったことは、次の内容でした。

・朝練~学校~部活~塾 とかなり過密なスケジュールである。 ・本人はまじめで「とにかくがんばる」というタイプ。それで結果も出している。 ・今回不調になったのは、どうやら新チームのキャプテンに任命されそのプレッシャーがあったようだ。 ・元々優しくて人に強くものが言えない性格なので、チームをまとめられなかったようだ。

大輔君はいわゆる「優等生タイプ」です。私のもとに相談にくる中高生のほとんどがこのタイプにあたります。
勉強もスポーツもできるし、生徒会長をやっていたという子もいます。
どの子もまじめで努力家。悪い言い方をすれば「手を抜くことを知らない」と言えます。