●まじめな子ほど、手の抜き方がわからない

彼らは常に全力疾走をしているような感じなのですが、とくに進学校になると、学年が上がるにつれてやることも増えるので、物理的な時間が確保しづらくなってきます。
これは大人がハードワークでメンタルの調子が悪くなるのと同じで、常にはりつめたような状態になってしまうので、新たな負荷がかかったり、なにかトラブルが発生したりすると、途端にメンタル不調に陥ります。

大人の場合は、休暇をとったりしてリフレッシュしたりしますが、子どもの場合は少し勝手が違います。

まず「休みを取る=学校を休む」ということに抵抗があるため、よほどでない限り休むという選択肢を取りません。

ましてや優等生タイプだと尚更でしょう。

また精神科を受診するにしても、未成年の場合発達途上ということもあり、まだまだ揺れやすい面がありますから、未成年の臨床に詳しい先生でないと、判断が難しい面もあります。
そういうことを考慮すると、大人のような投薬治療ではなく、カウンセリングやコーチングといった心理療法の活用を考えることも大事だと思います。最近ではスクールカウンセラーなど割と身近に存在していることもあるので、病院よりもまず相談というスタンスを取ることが賢明です。

大輔君の場合は、本人の希望もあり私が担当することになりました。約3か月間のコーチングで彼は調子を取り戻し、その後は問題なく学校に行けるようになりました。もちろん部活も続けていました。卒業後は現役で大学に合格し、サッカーを続けているという報告ももらっています。

●未成年をコーチングするときに気をつけたこと

私が彼のサポートをしているときに心がけていたことがあります。未成年と関わるときに参考になるかと思いますのでご紹介しますね。

1.とにかく彼と友達になろうとした。親友として話を聞くことにした。 2.「なにがあったのか」は一切聞かず、「どうしたいか」という話ばかりをした。 3.卒業までという期限があることを考え、そのなかでできることを二人で考えた。

とくに3番は大事です。本人たちは「卒業までになんとしなくちゃ」というプレッシャーも抱えています。
でもそこにばかりフォーカスすると身動きが取れなくなるので、スケジュール管理を頭に置きながら、本人が安心できる手順を一緒に考えます。そうすることで本人たちの不安が軽減され、やることが整理されてくるので、結果回復に向かうことができます。

未成年の場合、その親御さんも同時にサポートする感覚も必要です。じつは親の方が不安が強く、お子さんがそこに影響されていたということもありますので、親子同時にメンタルケアを行うことも必要です。
いずれにしても子どもたちは卒業という区切りがあるため、不調を感じたらなるべく早めにケアをすることが大事です。