家族がうつになったらどうすればいい?「隣の部屋にいる感覚」が大事
●うつになると善意の声がけがつらいことも
私の場合、うちの奥さんの関わり方が本当によく、それで回復も早くなったと思っています。
奥さんがいちばん気をつけたことはなにかというと、
ということでした。
家族がうつになると、どうしても心配してしまうのでついつい「今日は気分どう?」とか、「●●つくったから食べる?」とか、「少し散歩でも行こうか?」などとやりがち。
しかし、うつ最中の人にとっては、非常に負担に感じます。なぜなら相手の言葉や誘いに今の自分が応えることができないため、なるべく関わりをもちたくないから。
また単純にしゃべったり考えたりするエネルギーがない、というのもあります。なのであまり声をかけたり、なにかかをさせようとしないことがポイントになります。
同時に、相反する感覚なのですが「大切にしてほしい」という思いもあります。そのためあまりにも声をかえてもらえないと、それはそれで不安を増幅させてしまいます。
うつは孤立する病気です。なので孤立はいちばん避けたい、でも近すぎるのもよくありません。
●うつから回復するには、安心安全な場所に身を置くこと
私は夫がうつ病になって休職されている女性には、「隣の部屋にいる感覚で」というお話をします。
「向こうから関わりをもちに来ないけど、ちゃんと近くにいてくれている」という感覚が安心安全な環境をつくり、うつ状態の改善につながります。
人によりうつになった原因や置かれている環境は違います。でも、うつから回復するには、充分な心と体の休息をとることと、安心安全な場所に身を置くことが必要です。
つかず離れずの関係をつくり、こちらから声をかけるときは「なにかすることある?」でいいのです。
「ない」と言われたら「わかった。じゃあまた声をかけてね」でいいですし、「これをしてほしい」と言われたら、できる範囲内で「了解」でいいと思います。
そして徐々に本人が前向きになってきたらそのことを喜び合い、また落ち込んだから「つかず離れず」「なにかできることある?」からやり直していく。
できればこうなる前に夫が専門家に相談できたり、自分でクリアーできるのがいちばんなので、普段から家族で話し合ったり、無理をしない取り組みをしたりすることをおすすめします。