3:話しにくいことほど元気なうちに話しておく

新たな生活の拠点と位置づけて施設の暮らしを楽しむ
新たな生活の拠点と位置づけて施設の暮らしを楽しむ
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介護や延命治療、お金や相続のことは、どうしても話題にしづらいものです。でも、本人の気持ちを知らないまま、家族が判断しなければならなくなり、意見の違いによって、仲のよかった家族関係がギクシャクしてしまうことほど、つらいことはありません。

また、施設への入居も、「介護が必要になってから考えるもの」と決めつけなくてもいいのではないかと思っています。

実父は認知症が進んでから施設へ入ることになりました。そのとき父は、「自分を捨てるんだ」と涙を流して入所を拒みました。その姿を見る家族も本当につらく、「もっと早く話し合えていたら結果は違ったのではないか」と今でも思います。

以前の私は、「施設に入ってもらうこと」は家族の介護負担を軽くするためという考えが強かったように思います。でも、さまざまな経験をとおして考えが変わりました。施設は介護を受けるだけの場所ではなく、多くの人と交流し、新しい刺激を受けながら暮らせる場所でもあります。

現在90歳の母は、高齢者向けマンションで暮らし、お友達との交流やイベントを楽しみながら毎日を過ごしています。1人で家にいるよりも表情が明るくなり、「元気なうちに自分で選ぶ」ということの大切さを実感しています。

だからこそ、どのタイミングで、どのような暮らしを選びたいのか。施設という選択肢も含めて、元気なうちに本人の希望を聞き、家族で話し合っておくことをおすすめしたいと思います。

4:「もしも」の費用も準備しておく

何十年もため込んだものでいっぱいの実家
何十年もため込んだものでいっぱいの実家

実家の片付けでは、「片付けてほしい子ども」と「今のままで暮らしたい親」の気持ちがぶつかることが少なくありません。

子どもとしては、自分たちが元気に動けるうちに実家を片付けておきたい、転倒しにくい安全な家で暮らしてほしい。そして、ものに囲まれた暮らしではなく、本当に必要なものだけに囲まれた快適さを味わってほしい。そんな思いから、親に片付けをすすめたくなる気持ちはよく分かります。

でも一方で、親には「捨てたくない」「住み慣れた環境を変えたくない」という気持ちがあります。親にとっては、そのものや家そのものが長年暮らしてきた人生の一部でもあるのです。その思いを受け止めずに片付けを進めることで、親子関係がぎくしゃくしてしまうこともあります。

もちろん、安全のために住環境を整えることは大切です。でも、それ以上に大切なのは、親が安心して、笑顔で暮らせることではないでしょうか。

だから私は、無理に片付けを進めるより、「もしものときに実家を片付ける費用」を準備しておくという考え方も必要だと思っています。

不用品の処分や家財整理には思った以上に費用がかかります。その準備ができていれば、「今すぐ捨てて」と親を急かす必要はありません。

親の気持ちを尊重しながら、子どもも安心して支えられるように準備をしておく。その選択が、親子で過ごせる限られた時間を、片付けの言い争いではなく、笑顔の時間に変えてくれるのではないかと私は感じています。