「ものを手放す」というと、もったいないという気持ちが先行して、なかなか行動に起こせない人も少なくないかもしれません。しかし、「人には“今の自分”に合ったものがあるのではないかと考えています」と語るのは、現在60代の著述家、中道あんさん。人生の節目に「捨て活」をすることで見えてきた「気づき」について、中道さんに詳しく話を伺いました。
すべての画像を見る(全5枚)気持ちを整えるために「片付け」をしてきた
振り返ると、若い頃から私にとって「片付け=思考の整理」でした。
テスト勉強の前には、まず机を片付ける。20代で家を出ようと決めたときも、気持ちの準備として真っ先にしたのは片付けでした。
空間を整えることで覚悟が決まり、自然とやる気のスイッチが入る。そんな感覚を体で覚えていたのだと思います。
●夫と別居する際、徹底的な「捨て活」を
結婚してからも、私は何度も「捨て活」をしてきました。
なかでも印象に残っているのは、夫と別れる決心をし、別居するまでの間。2人の思い出の品を中心に徹底的に手放しました。捨てていたのは、じつは、過去の感情だったのかもしれません。
また、子どもが東京に進学したときには、子ども部屋をなくし、リフォームの際には、レジ袋ひと袋に捨てるものをつめてはゴミの日に出すという方法で、どんどんものを手放していきました。
ものが減るにつれて感じたことは、頭の中が驚くほど整理され、「これからどう生きたいか」のイメージが見えてくるということ。
捨て活は、今までの「当たり前」を見直して、自分にとって必要なものだけを選び直す作業なのだと思いました。そういう意味で、ライフステージの変わり目は、捨て活の始めどきなのかもしれません。
「捨て活」をスムーズに進めるためにやったこと
私なりの捨て活のコツがあって、それは「小さく始めて、大きく広げていくこと」。一度に多くを片付けようとすると、強い意志の力が必要になります。人間の意志の力ほどあてにならないものはありません。
とくに、やってみて私にいちばん合っていたやり方は、ゴミを出す日に、1分間で集められる量の不用品から捨てていくこと。
「ゴミの日にゴミを捨てる」という、すでにある習慣に新しいことをくっつけて、習慣化する。この方法なら、小さな成功体験を週に2~3回も得ることができます。私は、こんな小さいことからでOKだと思っています。
捨てるたびに自己効力感がアップ。最初はレジ袋につめていたところが、だんだんと袋が大きなサイズに変わっていき、最後は押し入れひとつ分が空っぽに。捨て活をやり遂げた達成感が自信につながりました。
去年からはひとり暮らしをはじめて、読まなくなった本を処分するためにメルカリを活用することも覚えました。手放すたびに、暮らしと心は軽くなっていきます。捨て活は「人生を整える習慣」でもある、と今ははっきり感じています。

