閉経前後、心臓が突然ドキドキしてびっくりすることはありませんか? 場所が場所だけに、心配が重なります。そこで今回は、更年期に起こりやすい動悸や息ぎれの症状について婦人科医の粒来 拓(つぶらい・たく)先生にお話を伺いました。

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更年期、突然の動悸で不安に…(※画像はイメージです)
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更年期に起こる心臓のドキドキ、その原因は?

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「更年期になってから動悸がひどくなった」「心臓がドキドキして不安になる」…。そう訴える女性は少なくありません。この心臓のドキドキの原因は、さまざまです。

まずひとつ考えられるのが、女性ホルモンのエストロゲンが減少することによる、自律神経の乱れです。医学的には「血管運動神経系症状」といいます。突然カーッと体がほてり、汗をかくホットフラッシュも血管運動神経症状のひとつです。

女性ホルモンのエストロゲンは、自律神経のコントロールを担う脳の視床下部からの指示を受けて卵巣から分泌されます。しかし、更年期になると女性ホルモンが十分に分泌されないため、視床下部が混乱して自律神経を乱してしまうのです。

そして、もうひとつ考えられるのが甲状腺疾患です。ちょうど更年期にあたる頃から甲状腺が過剰に分泌される「バセドウ病」が増えてきます。バセドウ病の主な症状に動悸が含まれるので、心臓のドキドキが甲状腺機能疾患の場合もあります。

動悸というと心臓の病気を真っ先に疑いますが、更年期における動悸はよく調べないと原因はわからないものです。

血管の健康に関与するエストロゲン

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女性ホルモンのエストロゲンは、主に(1)血管の柔軟性を保ち、(2)血管の拡張と収縮を調整し、(3)動脈硬化を防ぐ、という3つの作用があります。ところが、閉経によりエストロゲンが低下すると、これらの作用が低下し、血管の健康が損なわれやすくなります。

具体的に起こりやすい症状には、血管の柔軟性が失われて硬くなり、血圧が上がる、LDL(悪玉)コレステロールが増えて動脈硬化になりやすくなるなどがあります。それにより高血圧、心臓病(狭心症や心筋梗塞)、脳梗塞などのリスクが高まります。

いうまでもなく、狭心症、心筋梗塞や脳梗塞などは、命に関わる重篤な病気です。更年期に動悸が増えることはめずらしくありませんが、「更年期だから…」と軽視するのはよくありません。動悸が気になる場合は、循環器内科でしっかり調べましょう。