子どもが得意なことに対して、親はつい期待を寄せてしまいがち。ですが、子どもの「得意なこと」と「好きなこと」は必ずしもイコールではないことも。今回、子どもの力を伸ばすために親が大切にしたいことを、多数の教育機関と連携しながら子どもの未来のサポートと研究を行っている、「いこーよ 子どもの未来と生きる力研究所」に教えてもらいました。
※ この記事は『自立した子どもになるための やらない子育て』(扶桑社刊)より一部を抜粋し、再編集しています。
すべての画像を見る(全2枚)親の「期待」が子どもの気持ちを迷子にさせる
勉強が顕著な例ですが、子どもが得意なことに対して、親はつい期待をよせてしまいます。
子ども自身が得意なことを好きであれば、その力を伸ばしてあげたらいいのですが、好きではない場合は話が変わってきます。得意だから好きに違いないと周囲が勘違いし、過度な期待を抱いてしまうと、子どもはその期待にこたえようと無理をしてしまいます。
「お母さんが喜ぶから」「お父さんがうれしそうだから」「先生がほめてくれるから」といった理由でがんばるうちに、自分自身が好きでやっているのか、あるいは他人のためにやっているのかがわからなくなってしまうのです。
すると、得意なことへの取り組みを「ほめてもらうための手段」のように感じ、成果を上げなければ取り組む意味がないととらえるようになります。
「得意なもの」ではなく「好きなこと」に目を向ける
“好き”というのは、自分の気持ちから生まれるもの。一方で、得意かどうかは、他人との比較によって成り立つことが多いものです。
たとえば、学校では水泳が得意でも、クラブチームに入ればいちばん下のクラスからスタートすることもあります。その状態でも本人が楽しめるかどうかは、水泳が“好き”かが影響します。周囲から見てつらそうでも本人が好きならば、必死に食らいつく場合もあるでしょう。
ですから、子どもの力を伸ばすなら、得意なことではなく好きなことに目を向けましょう。その過程で子どもがつらい経験をしたとしても、それでもやりたいと思えるかどうかを子どもが体験している最中だと考えてください。
もちろん、「好きだけれどこれではつらい」と辞めることも本人の意思。完全に辞める決断をするかもしれませんし、趣味として楽しむような、別のやり方を見つけることもあるでしょう。このような経験すべてが、貴重な学びの時間なのです。
