冬場でも油断できない「風呂場の熱中症」

※画像はイメージです(画像素材:PIXTA)
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「熱中症」と聞くと、真夏の炎天下や、冷房のきいていない部屋で起こるイメージでしょう。しかし、じつは浴室でも熱中症は起こります。これは「浴室内熱中症」と呼ばれています。

入浴中は、体温が上がり汗をかいていても、浴室の高湿度によって蒸発しづらいので、汗をかいている実感が乏しいのです。そのため、知らないうちに体内の水分が失われ、脱水が進行して、いつの間にか熱中症に陥ってしまうことがあります。夏場だけではありません。冬であっても起こりえます。

●「浴室内熱中症」のサインは?

入浴中に以下のような身体変化があれば、それは浴室内熱中症の兆候です。

・顔のほてり、したたり落ちるほどの大量の発汗
・めまい、立ちくらみ
・筋肉のこむら返り
・頭痛、吐き気、だるさ
・判断力の低下・意識のぼんやり感
・動悸

こうした症状が出たら、前章で触れた方法で湯船から出てください。こうなる前に、額や鼻の頭が汗ばんできたら、いったん湯船から出てもよいでしょう。あるいは、冷たい水に手をつけてみてください。末端の血管を冷やすと、上がりすぎた深部体温の上昇を抑えることができます。

●入浴前後には水分補給を

そしてなにより重要なのが、入浴前と後の水分補給です。入浴は、運動と同じくらい汗をかきます。

・入浴前にコップ1杯(200~300mL)の水分を取る
・入浴後にコップ1杯(200~300mL)の水分を取る

入浴中の脱水が不安であれば、浴室にコップや水筒を持ち込んで水分補給をするとよいでしょう。

水分補給で大事なのは、「喉が渇(かわ)いていないから大丈夫」と体感に頼るのではなく、タイミングを決めて飲む習慣です。

年を重ねると、喉の渇きを感じるセンサーも鈍くなり、脱水状態になっていても喉の渇きを感じにくくなってしまいます。

高齢の方の熱中症が多いのは、この“気づきにくさ”が背景にあります。さらに、発汗による体温調整機能も低下しているため、体温がこもりやすく、熱中症のリスクがさらに高まります。この“気づきにくさ”と“調整しづらさ”が、熱中症につながる要因になるのです。