毎年届く「ねんきん定期便」。ここには記載されない年金がある、ということをご存じでしょうか? YouTubeでも人気の社労士の「社労士みなみ」さんによると、退職時に年金を受け取るための手続きを忘れてしまっている人が多数いて、「本来もらえるはずの年金」が放置されているケースも…。年金の受給もれを防ぐ方法について、社労士みなみさんに詳しく教えてもらいました。
※ この記事は『50代からのお金の新常識 知っている人だけが得をする人生逆転プラン』(かや書房刊)より一部を抜粋し、再編集しています。
すべての画像を見る(全4枚)もらえるはずの年金が放置されているかも
国民年金や厚生年金といった公的年金制度とは別に、企業年金や個人年金といった「私的年金」があります。
確定拠出年金(企業型DC、iDeCo)、確定給付企業年金、国民年金基金、そしてかつて多くの企業にあった厚生年金基金などがこれにあたります。これらの私的年金についても、「ねんきん定期便」には原則として記載されていません。
そのなかで、とくに注意が必要なのが、厚生年金基金の未請求年金です。過去に厚生年金基金に加入していたのに、退職時に年金を受け取るための手続きを忘れてしまっている人が非常に多くいます。
入社から10年や15年に満たずに退職した場合、その期間の年金資産や支払い手続きが「企業年金連合会」に移管されていることがあります。
企業年金連合会が支払っている未請求の年金は終身で受け取れる年金です。厚生年金基金に加入していた期間があるか不明な場合は、年金事務所に問い合わせるか、日本年金機構の「ねんきんネット」を利用して、「被保険者記録照会回答票」を取り寄せてみましょう。
この書類に厚生年金基金の加入期間が記載されているのに、年金を受け取っていない場合は、企業年金連合会に確認しましょう。
●年金の「記録もれ」が発生しやすいケース
その他に、過去の年金記録にもれがあり、それが原因で本来もらえるはずの年金が受け取れていないケースがあります。
これを「持ち主不明記録」と呼びます。持ち主不明の年金記録とは、国の年金記録のなかで、だれのものかわからなくなってしまっている記録のことです。過去には約5000万件もの持ち主不明記録が発覚し、現在もまだ未解明のものが存在します。
実際にその記録が発見されたことで、年金額が3倍以上に増えた例や、令和6年8月時点で年金が増額された人数がのべ109万人になるというデータもあります。厚生労働省の資料によると、「持ち主不明年金」で過去の年金記録と統合されたことで、年金が過去からさかのぼって1800万円増額されたというケースもあります。これは、驚きですね。
記録もれが発生しやすいケースには、転職が多い、結婚や離婚で姓が変わった(女性は旧姓の記録とつながっていない場合がある)、名前の読み方が複数あるなどです。

