「人生は、小さな一歩で予想もしない方向に動き出すと思うんです」と語るのは、53歳で単身スペイン留学を決めたRitaさん。子育てを終え、50代を迎えてから目標を見失い、心の空白を抱えていたRitaさんは、娘のひと言をきっかけに留学を決意します。スペインで3年間を過ごしたRitaさんが、大きく変化した考え方や、そこで得たかけがえのない価値観をレポートしてくれました。
すべての画像を見る(全6枚)まさか私が…。スペインで過ごした3年間で得たもの
スペイン語を学ぶために留学してから、気づけばもう3年以上。思い返せば、最初は「ほんの少しの勇気」から始まった挑戦でした。
海外志向もなく、語学も得意ではなく、それでも心のどこかで「このまま終わってしまうのかな」という焦りのような気持ちがありました。
「迷惑をかけずに天国へ行ければいい」と思っていた私が、まさかスペインで暮らす日々を送るとは想像もしなかったことです。
文化の違いに戸惑い、スーパーでの買い物にすら緊張し、カフェの店員さんに注文を伝えることが大冒険のように感じられた頃もありました。でも、そんな日々を重ねるなかで、少しずつ「言葉が通じる喜び」「人と笑い合える幸せ」「知らない景色に自分を重ねる楽しさ」を見つけていきました。
スペインで過ごした時間は、まさに「人生をもう一度始める練習」だったのかもしれません。
肩に力が入りすぎていた自分に気づけた
スペインに暮らして得たのは、なによりも「生きる姿勢のやわらかさ」でした。
日本にいるときは、きちんとしていなければ、年齢にふさわしくふるまわなければ、と肩に力が入りすぎていた気がします。でも、スペインの人々は、どんな年齢になっても人生を楽しみ、声を上げて笑い、遅い夕食を大切な家族や友人と囲んでいました。
「今この瞬間を楽しむ」ことを、まるで呼吸するように自然に実践している姿に、たくさんのことを教わりました。
そしてなにより、海外で暮らすということは「自分の小さな一歩が、じつは大きな挑戦になる」ことを知る経験でもありました。
語学学校に入学したとき、ただ教室のドアをあけただけなのに、私にとっては心臓が飛び出るほどでした。けれど、その一歩がなければ、街で道をたずねることも、友人と笑い合うことも、きっとできなかったでしょう。
海外に暮らす人ならきっとだれもが味わう「孤独」と「不安」、そして「発見」と「喜び」。そのすべてをとおして、自分がどんなときにも前に進めるのだと気づかせてくれたのが、スペインでした。