築40年以上の家を、夫婦で少しずつ手を加えながら30年間住み続けている、現在75歳のデザイナー・江面旨美さん。「狭い家でも、収納や色使いを見直すことで、広々とした生活ができるようにになりました」と江面さんは言います。今回、狭くて古い家をすっきり暮らしやすくする「家づくりのコツ」について語ってもらいました。
※ この記事は『75歳、心が弾めば人生は楽しい』(KADOKAWA刊)に掲載された内容を抜粋・再編集しています
すべての画像を見る(全5枚)理想の住まいのつくり方
今の家はもともと母の家でした。建売りで購入し、しばらく住んでいましたが、母が伯母と一緒に二世帯住宅を建てて住むことになり、そのタイミングで私たちが引っ越してきました。そのとき、限界ぎりぎりまでリフォームしたのですが、それでもまだ暮らしにくいので、そのあとも増築や改築を重ねて30年です。
若い頃には私にも、理想とする住まいがありました。
なにもない素っ気ないほどの家。素材がよくて、コンクリート打ちっぱなしみたいな空間です。当時、ある建築雑誌に掲載された「意地の都市住宅」という記事に触発されました。
父が設計の仕事をしていたので、小さい頃から建築には興味があり、設計図をよく目にしていたことも影響したのかもしれません。
自分の家も一からつくって住みたいと思っていましたが、現実はままならないもの。予算や利便性、家族のことなど現実を考えると、この家以外の選択肢はありませんでした。
それでも、どうすればこの狭い家で、すっきり広々と暮らせるかと、夫婦2人でDIYを重ね、家具のレイアウトなどで工夫を重ねてきました。
●狭い家をすっきり広く見せるコツ
そのひとつは、空間を白で統一して色を増やさないこと。そして、収納に工夫をこらすことです。 床とテーブル以外、目に映るものは、棚もライトもペンキを塗ってほぼ白でまとめています。
壁や階段脇の狭い凹みには、棚をつくって収納に。そこに整理用のボックスを形、大きさ、色をそろえてピッタリ隙間がないようにはめこみます。
工房と居間の間仕きりは、帆布で手づくりしたものですが、取り外し可能で、必要に応じて空間を広く見せることもできます。
色を抑えるということでは、キッチン道具や器、飾りにいたるまで白、シルバー、茶色、黒と徹底しました。
この家も、住人同様ずいぶん年をとりました。それでも、旅行から帰ってくるとほっとします。これからも手入れをしながら、丁寧に暮らしていこうと思います。