大地震が起こると、尖ったものや割れた破片が散らり、家の中が危険な状態になることも。そこで、今すぐできる収納テクニックや防災バッグの必需品などを紹介します。教えてくれたのは、看護師資格をもち、国内外30か所以上の被災地で活動してきた、国際災害レスキューナースの辻直美さんです。

2018年の大阪府北部地震での1枚。住人の方は家具に埋もれて骨折してしまったそう
2018年の大阪府北部地震での1枚。安全な部屋づくりの秘訣とは?(写真提供:辻直美)
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地震で10kg超の家電も「飛んで」くる。安全な部屋づくりのコツは?

大きな地震が起きると、家の中は想像以上に危険な状態になることがあります。

「大地震では、ものが『落ちる』『倒れる』『移動する』ことはよく知られていますが、じつは『飛ぶ』現象もあるんです。阪神・淡路大震災のとき、約14kgのテレビデオ(テレビとビデオデッキが一体化したもの)が1、2メートル先の棚から飛び、私の顔面に直撃、骨折した経験があります。それほど重いものが飛ぶので、家の中がぐちゃぐちゃになり足の踏み場もなくなります」(辻直美さん、以下同)

家の中全体が足の踏み場もなくなり、避難や片付けが困難になるため、まず足元を守ることが最優先、と話します。

●簡単!100円ショップの滑り止めシートで対策

地震対策になる収納ケース

家の中の危険を減らすために、今すぐできる対策として、100円ショップで購入できる滑り止めシートがおすすめなのだそう。

「食器の下や本の下、小物を入れた収納箱の底などに貼るだけで、ものが滑りにくくなります」

小物はむき出しにせず、箱に入れるのがおすすめ。

「箱ごと落ちてきても中身が散乱しにくいですし、万が一割れても箱の中なのでケガのリスクも下がります。そして、ものの住所が決まるので普段から整理整頓しやすくなります。ハサミやカッター、ボールペンなども、出しっぱなしにしていると飛んできて凶器になる可能性があるので気をつけて」

とはいえ、いつも完璧に片付けるのは大変。その場合は整理のタイミングを決めるのがポイント。

ご隣人の寝室は地震でものが崩れてしまいました
2018年の大阪府北部地震で被災した様子。ご隣人の寝室は地震でひどい状態に(写真提供:辻直美)

「私もズボラなので、常にピカピカというわけではありません。でも、『寝る前』と『出かける前』だけは必ず片付けるようにしています。寝ている間に被災したら、真っ暗闇で足の踏み場もなくては逃げられませんから。とりあえず箱に放り込むだけでもいいので、床にものが散乱していない状態にする。これが災害対策にもつながり、朝起きたときも気持ちがいいですよ」