災害自体が落ち着いても、被災した状況下での暮らしは続きます。そんなときに怖いのが、不衛生な環境で病気にかかること。高齢者だけでなく、若い人にもリスクがあるのです。そこで「被災後の健康を守るテクニック」について、国内外30件以上の被災地で医療支援を行ってきた、国際災害レスキューナースの辻直美さんに教えてもらいました。

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被災「後」の健康を守るため、大事な行動を教えてもらいました
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病気を防ぐのがいちばん。衛生状態を保つ備えを

「災害により断水すると衛生状態が保てなくなりますし、環境の変化やストレスで睡眠の質が低下。体力は消耗し、免疫力が低下するので、丈夫で健康な人でも感染症にかかりやすくなります」(辻さん、以下同)

軽い風邪でも、治療が受けられず、気管支炎や肺炎にまで至るケースが頻発するそう。とくに多いのが誤嚥(ごえん)性肺炎。阪神・淡路大震災の災害関連死の4分の1が肺炎で、そのほとんどが誤嚥性肺炎だったそう。誤嚥性肺炎とは、細菌を食べ物や唾液と一緒に間違って飲み込んでしまい、細菌が器官を通って肺に入り、感染・炎症を引き起こす病気のこと。高齢者がなるイメージがありますが、不衛生な環境では若い人もかかります。

「シモ系の感染症にかかる人も多いです。救援物資や保存食は塩分が多いうえ、なるべくトイレを使いたくないからと水分を控えがち。結果、尿道炎を発症して、そこから膀胱(ぼうこう)炎、腎盂腎炎(じんうじんえん)、腎不全にまで進むケースも。『自分は健康だから大丈夫』と過信をせず、万全の対策をとってください」

1:歯みがきを怠ると、若い人でも誤嚥性肺炎のリスクも

避難所生活は誤嚥性肺炎のリスクだらけ。

「歯みがきをしなければ、口の中が雑菌だらけになり、抗菌作用のある唾液の分泌も減少。加えて、避難所生活は会話や娯楽が少なく口の機能低下が起こりやすく、嚥下(えんげ)に影響が出て誤嚥をしやすくなるのです」

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