子どもの独立による子育て終了や定年後を見すえた働き方の変化など、50代後半は人生にひとつの節目が訪れる時期。「このままでいいのかな」と焦ることもあるかもしれません。50代で事務職から起業をした著述家の中道あんさんもそのひとり。現在62歳の中道さんが、50代からの人生を生きる上で大切にしている考え方や習慣について教えてもらいました。

中道あんさん
中道あんさん
すべての画像を見る(全2枚)

人生に焦り始める50代後半

「なにか始めなきゃ」「このままでいいのかな」

最近、50代後半の女性たちからそんな言葉をよく聞くようになりました。私自身も48歳で夫と別居、50代に入ってから起業を経験。まさに、「これからが自分の人生。でも、こんな私にいったいなにができるんだろう?」と考えるようになったうちのひとりです。

私の場合は、たまたま始めたブログが自分の居場所となり、1冊の書籍を出せたことで新しい人生を創造するきっかけになりました。

50代からはいよいよ人生の後半戦。子育て終了や退職と、まわりの変化が多いタイミングでもあります。

「母親という居場所から、子どもが巣立って孤独を感じてしまう」という人もいれば、「勤続30年を超え、ずいぶん長く働いていたため、定年後に自分の居場所がなくなってしまう」と焦りが感じている人もいるのではないでしょうか。

一方、SNSをのぞくと、起業や副業、二拠点生活や出版といった華やかな事例が目立ちます。

そこで「なんの取り柄もない私に、いったいなにができるのだろうか? 」という、自分に自信をもてない状態に陥(おちい)ります。きっと今のままでも十分なんだけれど、「なにかしていないと取り残されそう」と思いがちに。

でも、じつはそれ、世間の流れや周囲の空気に影響されているだけかもしれませんね。それよりも、「どんな気持ちでいるか」の方が毎日を豊かにするんです。

起業を決心した決め手は「好奇心」

自分というのは、外側と内側の両面から成り立っていて、私たちが気になるのは「外側」だったりします。たとえば、収入、住まい、身なり、資産、家族、食生活、余暇などです。

どうしても外側の豊かさに目がいってしまいますが、大事なのは、自分はなにを大切にして生きるのか、どういう人でありたいのか、という内面のほうだと思うのです。

私自身も出版や起業を経験してきたけれど、行動の前には必ず「自分はどうありたいのか」を問い直してから行動するようにしています。

振り返るとたしかに、このままだと60歳まで働けないという危機感はありました。しかし、だから起業を決心したというよりは、ビジネスにとても関心があり、自分がその世界に飛び込んだらどんな風になるのか見てみたいという興味の方が強かったのです。

その好奇心を見過ごすことは、やがて後悔することになるだろうと考えました。やらぬ後悔ならやって後悔しよう。

私には、「自分がやりたいことをやらせてあげられる人でありたい」という価値観があります。新しいチャレンジはだれしも怖いものですが、それに沿って判断したら、とても潔い気持ちになったのを鮮明に覚えています。